設立費用を安くする方法を、効果額の大きい順に5つ。合計15万円の引き算
設立費用を安くする方法は、ネット上にいくつも書かれています。ただし効果額の大きさと、使うための条件はまったく別です。効果が最大の方法がいちばん使いにくい、ということも起こります。
この記事では、5つの方法を効果額の大きい順に並べ、それぞれに「誰が使えるか」「いつまでに動く必要があるか」を付けました。株式会社を一人で作る場合を基準にしています。
効果額の大きい順に5つ

合同会社を選ぶ
登録免許税が15万円から6万円に。さらに定款認証手数料(15,000〜50,000円)もまるごと不要になるので、実質的な差はもっと大きくなります。
使うための条件はありません。ただし会社形態そのものを変える判断なので、費用だけで決めるべきではありません。外部からの出資、上場、取引先の与信要件——このどれかに引っかかるなら、株式会社を選ぶ理由が費用差を上回ります。
条件なしいつでも判断可能出資予定があるなら不可特定創業支援等事業の証明を取る
本店を置く市区町村が国の認定を受けていれば、その自治体の創業支援を修了することで証明書が交付されます。これを登記申請書に添付すると、登録免許税が半額に。株式会社なら15万円が75,000円、合同会社なら6万円が3万円です。
支援の内容は自治体によりますが、経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野について、1ヶ月以上かつ4回以上の受講が一般的な要件です。証明書の交付にもさらに数日〜2週間かかります。
創業予定または創業5年未満1〜2ヶ月の時間が必要2社目の設立は対象外手続きを自分でやる
司法書士に一括で依頼した場合の報酬が浮きます。会社設立の手続きに、資格が必要な作業はひとつもありません。
代わりに必要なのは実働14〜28時間と、平日に2〜3回動ける時間です。調べ物が苦にならない人、時間に余裕がある人なら、この方法の費用対効果は高くなります。逆に本業を止めたくない人には向きません。
条件なし平日に動ける必要あり許認可業種は要注意電子定款にする
紙の定款に貼る収入印紙4万円が不要になります。株式会社でも合同会社でも同じ効果です。
マイナンバーカードとICカードリーダー(または対応スマートフォン)、電子署名用ソフトが必要。環境構築に2〜6時間かかりますが、行政書士に作成だけ依頼すれば5,000〜10,000円で済みます。どちらを選んでも紙定款より安く上がります。
条件なしマイナンバーカードがあると楽代行なら5,000〜10,000円定款認証手数料の特例を使う(株式会社のみ)
2024年12月の改定で、条件を満たす株式会社の定款認証手数料が15,000円になりました。資本金300万円以上なら本来50,000円なので、差額は35,000円です。
条件は、資本金100万円未満・発起人が全員個人で3人以下・発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける・取締役会を置かないの4つ。一人で作るなら、資本金の設定だけ気をつければ自然に満たせます。
資本金100万円未満株式会社のみ合同会社には無関係組み合わせると、いくらになるか

159,000円の減額
約119,000円から70,000円の減額
ただし、ここまで下げるには設立まで2ヶ月以上の余裕が必要です。特定創業支援等事業の証明取得に時間がかかるためです。急いでいる場合は2位が使えないので、株式会社で174,500円、合同会社で79,000円というのが現実的な着地になります。
特定創業支援等事業を、もう少し具体的に

効果額2位のこの制度は、名前が固いわりに中身は素朴です。市区町村または市区町村が委託した機関(商工会議所など)が行う創業者向けの支援を、一定回数以上受けるというものです。
要件としてよく設定されているのは、経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野をカバーする支援を、1ヶ月以上の期間にわたって4回以上受けること。形態は自治体によって違い、連続講座のセミナー形式、個別相談を複数回、あるいは両方の組み合わせというパターンがあります。費用は無料か、数千円程度の実費というケースが多いです。
修了すると、自治体に対して「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」の交付を申請できます。この証明書の原本を登記申請書に添付すると、登録免許税が半額になります。
登録免許税の軽減以外にも、この証明書には使い道があります。日本政策金融公庫の新規開業資金で、貸付利率の引き下げ対象になる場合や、創業関連保証の特例として、事業開始の6ヶ月前から信用保証を利用できるようになるといった効果です。設立費用の話を超えて、資金調達の条件そのものが変わる可能性があります。
やってはいけない「安くする方法」

費用より効果が大きい「削らない判断」

設立費用を数万円削る話をしてきましたが、実はもっと金額の大きい分岐が2つあります。どちらも設立時にしか決められません。
ひとつめは、資本金を1,000万円未満にすること。1,000万円以上で設立すると、初年度から消費税の課税事業者になります。売上が1,000万円あるなら、納税額は数十万円規模。設立費用を15万円削る努力より、こちらのほうが効果が大きい場面は珍しくありません。
ふたつめは、決算月を適切に選ぶこと。設立日から最も遠い月末を決算月にすれば、初年度をほぼ12ヶ月使えます。逆に設立の2ヶ月後を決算月にしてしまうと、すぐに決算がやってきて、税理士報酬(10〜20万円)が1回分早く出ていきます。この選択に費用はかからないのに、金額の影響は大きいという、もっとも効率のいい判断です。
急ぐ人向けの、現実的な組み合わせ

ここまでの5つのうち、時間を要求してくるのは2位(特定創業支援等事業)だけです。それ以外は今日決めれば今日から適用できます。設立を急いでいる場合の、現実的な組み合わせを示しておきます。
| 設立までの猶予 | 使える方法 | 着地する金額(株式会社) |
|---|---|---|
| 2ヶ月以上 | 5つ全部 | 99,500円 |
| 3週間程度 | 電子定款+認証特例+自力 | 174,500円 |
| 2週間以内 | 認証特例+自力(電子定款は代行) | 182,500円 |
| 1週間以内 | 紙定款+認証特例+自力 | 214,500円 |
急ぐほど高くつく、という単純な関係になっています。差額は最大で11万5千円。1ヶ月半待てるかどうかで、10万円以上変わるということです。取引開始日が動かせないなら仕方ありませんが、そうでないなら、待つ価値のある金額だと思います。
なお、合同会社を選べばこの表の金額から一律で9万円以上下がります。2ヶ月以上の猶予があって合同会社を選ぶなら、着地は49,000円。もっとも急ぐケースでも約119,000円です。
まとめ

- 効果額1位は合同会社を選ぶこと(−90,000円)。ただし形態の判断が伴う
- 2位は特定創業支援等事業の証明(−75,000円)。1〜2ヶ月の時間が必要
- 自分でやる(−5〜10万円)、電子定款(−4万円)、認証特例(−3.5万円)と続く
- 全部使えば株式会社99,500円、合同会社49,000円まで下がる
- 資本金1円・事業目的1つ・印鑑を作らないは、削っても得しない
- 資本金1,000万円未満と決算月の選び方のほうが、金額の影響は大きい
「会社 立ち上げ 初期費用 安く」で検索すると、電子定款と合同会社の話が中心に出てきます。一方で効果額が最大の特定創業支援等事業については、自治体サイトや司法書士のブログにしか書かれていないことが多く、見落とされがちです。制度の一次情報にあたれるサイトも含めて並べました。
- 中小企業庁|会社設立時の登録免許税の軽減について登録免許税半額制度の一次情報。認定市区町村の確認もここが起点です。
- 大阪市|特定創業支援等事業について自治体側の公式案内。支援内容と証明書申請の実際の流れが分かります。
- 弥生|会社設立にかかる登録免許税とは?計算方法や半額にする方法を解説半額にする方法を計算例つきで説明しています。
- ベンチャーサポート|会社設立時の登録免許税とは?半額制度や納付方法【早見表あり】半額制度と早見表。効果額を自分の資本金で確認できます。
- 司法書士法人C-first|会社設立の登録免許税が半額になる?登記申請での証明書の添付方法に触れた実務解説です。
- 司法書士福原誠事務所|会社設立時の登録免許税を半額にする方法要件と手順を実務者の視点で整理しています。
- あなたのまちの司法書士事務所グループ|設立登記の登録免許税軽減(創業支援事業)軽減の対象範囲と申請手続きをまとめています。
- 司法書士おおざわ事務所|会社設立の費用・税金を半額にする方法を専門家が解説証明書取得までのスケジュール感に触れており、日程を組む参考になります。
- エントレ|【お得な制度活用】会社設立時の登録免許税を半額するには?制度の使い方を手順順に説明した記事です。
- 司法書士法人永田町事務所|定款認証の手数料が半額になりました。令和6年12月改定のポイント認証手数料15,000円の4条件を具体的に整理しています。
- RSM汐留パートナーズ司法書士法人|株式会社の定款認証に係る公証人手数料の一部改定改定の背景と対象範囲を解説しています。
- ミネルバ税理士法人|定款認証手数料引き下げで、さらに安く株式会社を設立費用全体のなかでの影響度を税理士の視点で扱っています。
- d-teikan|定款認証手数料の計算方法!資本金別の境界線と節約のウラ技資本金の設定で手数料が変わる境界線を具体的に示しています。
- freee|会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説形態を変えることによる費用差を確認できます。
- 弥生|会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の法人設立費用を比較解説形態別の費用比較。効果額1位の判断材料になります。
- 弥生|会社設立手続きは自分でできる?かかる費用や必要な手続きを解説自分でやることで浮く金額と、その代わりの手間を扱っています。
- freee|会社設立を自分で行うには?費用・必要な手続き・設立時のポイント自力設立の全体像。報酬分を削る判断の参考になります。
- IDEMAE|合同会社の設立費用はいくらかかる?内訳・安く抑える方法を解説合同会社側で安く抑える方法をまとめています。
- マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社の設立費用はいくら?内訳・節約方法節約方法を項目ごとに整理した記事です。
- 日本公証人連合会|定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか手数料の一次情報。節約策を検討する前に金額を確定させる場所です。
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