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会社 立ち上げ 初期費用

初期費用の内訳を4つに分ける。金額がバラバラに見えるのは、数える範囲が違うから

最終更新 2026年8月15日 読了目安 約11分 文字数 約6,688字
初期費用の内訳を4つに分ける。金額がバラバラに見えるのは、数える範囲が違うから
設立費用を調べると、24万円・11万円・6万円と記事ごとに数字が違います。原因は、どこまでを初期費用と呼ぶかが揃っていないこと。法定費用・実費・任意費用・運転資金の4つに分けると、この混乱は解けます。分類ごとに「必ずかかるのか」「減らせるのか」「そもそも消えるお金なのか」という性質が違うからです。

設立費用の内訳を調べていると、記事によって金額が違って混乱します。24万円と書いてある記事もあれば、11万円、6万円というものもある。これはどこまでを「初期費用」と呼ぶかが揃っていないことが原因です。

費用を4つに分類すると、この混乱は解けます。分類ごとに性質——必ずかかるのか、減らせるのか、そもそも消えるお金なのか——が違うからです。

初期費用を4つに分ける

初期費用を4つに分ける
性質:必ずかかる

法定費用

登録免許税、定款認証手数料、収入印紙代。法律で決まっている支出で、金額の交渉はできません。ただし制度上の軽減措置を使えば減ります。

性質:必ずかかる(小額)

実費

印鑑、登記事項証明書、印鑑証明書、郵送費、交通費。1つあたりは数百〜数千円ですが、合計すると1〜3万円になります。

性質:やらない選択肢がある

任意費用

司法書士・行政書士への報酬、設立代行、会計ソフト、ロゴやウェブサイトの制作。全部自分でやればゼロにできます。

性質:設立費用ではない

運転資金

家賃、仕入、機材、広告、そして自分の生活費。設立費用とは別枠で、桁がひとつ違います。ここを混ぜると計算が壊れます。

初期費用を4つに分類した表

分類1|法定費用の内訳

分類1|法定費用の内訳

もっとも金額が大きく、記事ごとの数字の違いもここから生まれます。

登録免許税
資本金×0.7%。株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円です。つまり株式会社なら資本金2,143万円まで、合同会社なら857万円までは最低額が適用されます。特定創業支援等事業の証明があれば、これが半額になります。
定款認証手数料
株式会社のみ。資本金100万円未満で3万円、100万〜300万円未満で4万円、300万円以上で5万円。ただし一人・資本金100万円未満・取締役会なしなどの条件を満たすと15,000円になります。合同会社はこの費用が丸ごと不要です。
収入印紙代
紙の定款に貼る印紙で4万円。電子定款にすれば不要です。形態を問わずかかるので、どちらを選ぶ場合でも電子定款を検討する価値があります。
定款の謄本交付手数料
株式会社のみ。1枚250円程度で、定款が10枚前後なら2,000〜2,500円。通常2〜3通取得します。細かい金額ですが、記事によって含めたり含めなかったりする項目です。
98,500円〜
株式会社・すべての軽減措置を適用した場合の総額(法定費用+実費)
49,000円〜
合同会社・すべての軽減措置を適用した場合の総額(法定費用+実費)

分類2|実費は小さいが、忘れると当日困る

分類2|実費は小さいが、忘れると当日困る
見落とされがちな実費の一覧

合計しても1〜3万円ですが、この分類の特徴は「手元にないと手続きが止まる」という点にあります。金額の問題ではなく、段取りの問題です。

とくに会社の印鑑は、登記申請日に手元になければその日を設立日にできません。既製品なら5,000円台から、書体や素材を選ぶと2〜3万円。急ぐ場合は即日発送のサービスを使うことになり、送料が上乗せされます。

登記事項証明書は1通600円。届出先が税務署、都道府県税事務所、市町村、年金事務所、それに法人口座の申込みと、使う場面が多いので3通ほど取っておくと窓口を往復せずに済みます。1通ずつ取りに行くと、交通費と時間のほうが高くつきます。

分類3|任意費用は、削れるが削りすぎない

分類3|任意費用は、削れるが削りすぎない
項目相場削るとどうなるか
司法書士へ設立登記を一括依頼50,000〜100,000円自分でやれば0円。実働14〜28時間
行政書士へ電子定款のみ依頼5,000〜10,000円自分でやれば0円。ただし機材と2〜6時間が必要
会計ソフト(年額)24,000〜60,000円手書きも可能だが、決算で確実に苦労する
ロゴ・名刺・ウェブサイト0〜300,000円後回しにできる。ただし営業活動には影響
税理士の顧問契約月20,000〜40,000円初年度は自分で回す選択もある
任意費用を削る判断で気をつけたいのは、会計ソフトと税理士です。設立直後は取引が少ないので自分で回せますが、初年度決算の時期に慌てて依頼すると、通常より高い料金を提示されることがあります。「期中から見ている顧客」と「決算だけ持ち込まれた顧客」では、事務所側の手間がまったく違うためです。削るなら、その前提で計画してください。

分類4|運転資金を混ぜないこと

分類4|運転資金を混ぜないこと
4分類で見た、はじめの半年に必要なお金の構成

グラフを見ると分かるとおり、金額として支配的なのは運転資金です。設立費用は全体の1割程度にすぎません。にもかかわらず、設立費用ばかり調べて運転資金の計算をしていない、という状態がよく起こります。

運転資金の見積もりは、「売上がゼロの月が何ヶ月続いても耐えられるか」で考えます。毎月の固定費(社会保険料、家賃、通信費、ソフト代など)と自分の生活費を足して、その6倍。これが最低ラインです。

一人で、自宅を本店にして、仕入も在庫もない業態なら、毎月の固定費は5〜10万円程度に収まります。生活費が20万円なら、6ヶ月で150〜180万円。ここに設立費用10万円と開業費を足して、200万円前後が現実的な準備額になります。

内訳の計算でよくある3つのズレ

業種によって、内訳の重心はまったく変わる

業種によって、内訳の重心はまったく変わる

ここまでは一般論として4分類を説明してきましたが、実際の金額は業種で大きく変わります。変わるのは第4層の運転資金と、第2層に含まれる開業費です。法定費用と実費は業種に関係なくほぼ一定なので、業種差はすべて下の2層に集中します。

知識サービス系(コンサル、受託開発、デザイン、士業など)。もっとも軽く済みます。自宅を本店にすれば家賃負担はなく、必要なのはPCとソフトウェア、それに営業用の名刺やサイト。開業費は20〜50万円、運転資金は生活費が中心で月20〜30万円。合計で150〜250万円あれば動き出せます。

物販・EC系。在庫を持つかどうかで桁が変わります。無在庫や受注生産なら知識サービス系に近くなりますが、仕入れて売る形だと初期在庫と保管場所が必要です。加えて、仕入代金の支払いが売上の入金より先に来るため、運転資金の性質が「生活費」から「回転資金」に変わります。この違いを見落とすと、黒字なのに現金が足りないという状態に陥ります。

飲食・店舗系。もっとも重い部類です。物件の保証金、内装工事、厨房設備、什器。開業費だけで数百万円から一千万円規模になります。設立費用が占める割合は1%を切り、資金計画の中心は完全に別のところにあります。この業種で「設立費用をいくら安くできるか」を調べているとしたら、優先順位が違うということになります。

内訳を計算するときの3つのズレ

内訳を計算するときの3つのズレ

ひとつめは、資本金を費用に足してしまうこと。資本金は会社の口座に入るお金で、消えません。設立後は運転資金として使えます。「資本金100万円+設立費用10万円=110万円必要」という計算は正しくなく、正しくは「110万円を用意して、そのうち10万円が消え、100万円が会社に残る」です。

ふたつめは、維持費を見ていないこと。設立してしまえば終わりではなく、翌年以降も法人住民税の均等割が年7万円、社会保険料が最低でも年20万円台から発生します。赤字でも払う固定費が年30万円前後あるという前提で、法人化の是非を判断してください。

みっつめは、消費税の分岐を見落とすこと。資本金1,000万円以上で設立すると、初年度から消費税の課税事業者になります。売上1,000万円なら納税額は数十万円規模。設立費用を数万円削る話より、はるかに金額が大きい論点です。

前提が違うためです。①紙定款か電子定款か、②資本金をいくらに置いているか、③印鑑代や証明書代を含めているか、④2024年12月の認証手数料改定を反映しているか。この4点を確認すれば、たいていの食い違いは説明がつきます。

設立前は会社の口座がないので、発起人(あなた)個人が立て替えます。設立後に会社から精算する形です。創立費・開業費として計上できるので、領収書は必ず保管してください。宛名は個人名で問題ありません。

一般的な選択です。日本政策金融公庫の創業融資では、設立直後でも申し込めます。ただし自己資金の準備状況が見られるため、全額を借入でまかなう計画は通りにくくなります。必要額の3分の1程度は自己資金で用意しておくと、説明がしやすくなります。

内訳を、そのまま資金計画書に変える

内訳を、そのまま資金計画書に変える

4分類で洗い出した数字は、そのまま創業計画書や事業計画書の「必要資金」欄に転記できます。日本政策金融公庫の創業計画書には「必要な資金と調達方法」という欄があり、設備資金と運転資金に分けて書く形式になっています。

対応関係は単純です。第1層(法定費用)と第2層(開業費)のうち、PCや機材など形のあるものが設備資金。第3層と、開業費のうち広告費や名刺代のような消費されるものが運転資金です。設立費用そのものは創立費として設備資金に含めるのが一般的な扱いになります。

そして右側の「調達方法」欄に、自己資金と借入金の内訳を書きます。ここで自己資金の額が少なすぎると、審査で説明を求められます。必要額の3分の1程度を自己資金で用意できていると、話が通りやすくなるというのが実務上の目安です。

逆に言えば、内訳を4分類で正確に出しておけば、そのまま融資の申込書類が半分書けているということでもあります。設立費用を調べる作業は、資金計画を作る作業と地続きです。

まとめ

まとめ
内訳を正しく数えるための6点
  1. 費用は法定費用・実費・任意費用・運転資金の4つに分ける
  2. 法定費用が最大。ただし軽減措置で半分近くまで落ちる
  3. 実費は1〜3万円。金額より「なければ止まる」ことが問題
  4. 任意費用は削れるが、会計まわりを削りすぎると決算で高くつく
  5. 金額として支配的なのは運転資金。設立費用は全体の1割程度
  6. 資本金を費用に足さない。維持費と消費税の分岐を見落とさない
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください 検索キーワード:会社 立ち上げ 初期費用 内訳 / 20 サイト

「会社 立ち上げ 初期費用 内訳」で検索して出てくる記事は、どこまでを内訳に含めるかがそれぞれ違います。法定費用だけを並べたもの、実費を足したもの、開業費や運転資金まで含めたもの。自分がいま知りたいのがどの層なのかを決めてから読むと、必要な情報に早く辿りつけます。

  1. freee|会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説法定費用と維持費を分けて示しており、内訳の枠組みを掴むのに向いています。
  2. 弥生|会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の法人設立費用を比較解説項目ごとに金額を並べた比較表があります。
  3. ベンチャーサポート|会社設立の費用は11万〜24万円!設立前後のコストを徹底解説設立前と設立後でコストを分けており、この記事の4分類に近い切り口です。
  4. マネーフォワード クラウド会社設立|会社設立でかかる維持費や年間費用は?毎年の費用に特化。初期費用と合わせると総額が見えます。
  5. freee|一人で会社を作るときに必要な費用は?会社設立や事業開始にかかる費用事業開始にかかる費用にも触れており、運転資金の考え方の参考になります。
  6. 創業融資ガイド|株式会社を設立する際にかかる費用とその内訳融資の視点から内訳を整理しています。資金計画に落とすときに有用です。
  7. サン共同税理士法人|会社設立する時にかかる費用はどのくらい?税理士法人による費用解説。会計処理の観点が入っています。
  8. 日本公証人連合会|定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか定款認証まわりの一次情報。謄本交付手数料もここで確認できます。
  9. 法務省|株式会社の設立手続(発起設立)について登録免許税の納付方法と申請書の様式。法定費用の根拠です。
  10. 中小企業庁|会社設立時の登録免許税の軽減について法定費用を減らせる制度の一次情報です。
  11. 弥生|会社設立にかかる登録免許税とは?計算方法や半額にする方法を解説登録免許税の計算式と半額制度を具体例つきで説明しています。
  12. ベンチャーサポート|会社設立時の登録免許税とは?【早見表あり】資本金別の早見表。内訳の最大項目を確認できます。
  13. d-teikan|定款認証手数料の計算方法!資本金別「3万・4万・5万円」の境界線資本金と認証手数料の境界線を細かく示しています。
  14. 司法書士法人永田町事務所|定款認証の手数料が半額になりました。令和6年12月改定のポイント認証手数料の改定内容。古い金額との違いを確認できます。
  15. IDEMAE|合同会社の設立費用はいくらかかる?内訳・安く抑える方法を解説実費の細目まで踏み込んだ内訳です。
  16. マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社の設立費用はいくら?内訳・節約方法合同会社側の内訳。株式会社と比べると項目差が見えます。
  17. 弥生|合同会社の設立費用はいくら?登録免許税や資本金の相場資本金の相場に触れており、運転資金を考える材料になります。
  18. J-Net21(中小機構)|株式会社の設立手続き公的支援機関の解説。制度としての費用の位置づけが分かります。
  19. 三井住友銀行|会社設立とは?必要な手続と費用、設立までの流れを詳しく解説銀行の視点。口座開設まで含めた費用感を掴めます。
  20. 創業手帳|会社設立の流れがわかる!やることリスト完全版費用が発生するタイミングを、工程と対応づけて確認できます。

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著者:合同会社commit / 合同会社FIELD 共同編集部

本記事は、合同会社commit(コンサルティング/Webマーケティング/Web制作)と 合同会社FIELD(事業グロース支援/人材/ITスクール)の共同編集部が制作しています。両社ともに合同会社として設立・運営しており、一人・少人数での法人設立と設立後の実務を、自らの経験も踏まえて扱っています。

記事は、法務省・法務局・国税庁・日本年金機構・中小企業庁・日本公証人連合会などの一次情報を確認したうえで作成し、合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら編集しています。参照元は各セクションの末尾に明示しています。ただし制度・手数料は改正されるため、手続きの際は必ず所管官庁の最新情報をご確認ください。個別具体的な判断については、税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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