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会社 立ち上げ 初期費用

株式会社の初期費用は約25万円。3つの引き算で9万円台まで落とす

最終更新 2026年8月15日 読了目安 約12分 文字数 約7,127字
株式会社の初期費用は約25万円。3つの引き算で9万円台まで落とす
株式会社の設立費用は「約24万円」とよく書かれますが、それは何も工夫しなかった場合の金額です。電子定款、定款認証手数料の特例、そして特定創業支援等事業による登録免許税の半額。この3つを重ねると、同じ株式会社が9万円台で作れます。値切ったわけではなく、制度として用意されている引き算を使っただけです。

株式会社の設立費用は、検索するとだいたい「約24万円」と出てきます。この数字は間違いではありませんが、何も工夫しなかった場合の金額です。条件が揃えば、同じ株式会社が9万円台で作れます。

差額の15万円は、値切ったわけでも裏技を使ったわけでもありません。制度として用意されている引き算を3つ使っただけです。この記事では、まず何もしない場合の内訳を出し、そこから1つずつ引いていきます。

まず、何もしない場合の金額

まず、何もしない場合の金額

紙の定款、資本金300万円、専門家に依頼せず自分で手続きする——という前提で計算します。

株 式 会 社 設 立 費 用 明 細
登録免許税(資本金×0.7%、最低15万円)150,000円
定款認証手数料(資本金300万円以上)50,000円
収入印紙代(紙の定款)40,000円
定款の謄本交付手数料約2,000円
会社印鑑3本セット約15,000円
登記事項証明書・印鑑証明書約1,500円
合計258,500円
株式会社の設立費用の構成比

グラフを見ると分かるとおり、費用の大半は登録免許税と定款認証まわりです。印鑑や証明書は合計で2万円弱にすぎません。つまり費用を落とすなら、この2つに手を入れるしかないということになります。

引き算その1|電子定款にする(−40,000円)

引き算その1|電子定款にする(−40,000円)
  1. −40,000円

    紙をやめると、印紙税が消える

    収入印紙4万円は、紙で作成した定款が印紙税法上の課税文書にあたるためにかかります。PDFに電子署名した電子定款は課税文書に該当しないので、印紙代そのものが発生しません。

    必要になるのは、マイナンバーカード、ICカードリーダー(または対応スマートフォン)、電子署名用のソフト。すでにカードを持っているなら追加費用はほぼゼロですが、環境構築で2〜6時間かかります。行政書士に電子定款の作成だけ依頼した場合の相場は5,000〜10,000円なので、時間を買う判断も十分に合理的です。

使える条件:特になし。誰でも選べます。ただし、電子定款を選ぶと公証役場とのやりとりが電子データ経由になるため、管轄公証役場の対応方法(オンライン送信、ウェブ会議での面前確認など)を先に確認しておくと手戻りがありません。

引き算その2|定款認証手数料の特例を使う(−35,000円)

引き算その2|定款認証手数料の特例を使う(−35,000円)
  1. −35,000円

    一人で小さく作るほど安くなる

    2024年12月に改定が入り、一定の条件を満たす株式会社の定款認証手数料が15,000円になりました。資本金300万円以上なら本来50,000円なので、差額は35,000円です。

    条件は4つ。資本金100万円未満発起人が全員個人で3人以下発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨が定款にある取締役会を置く旨の記載がない。一人で作るなら、資本金の設定さえ気をつければ自然に当てはまります。

注意点:資本金を100万円ちょうどにすると特例から外れ、手数料は40,000円になります。99万円と100万円で25,000円の差です。また資本金を下げすぎると法人口座の審査や創業融資で不利になるため、「100万円未満で、かつできるだけ大きい額」——たとえば99万円という設計がよく選ばれます。
資本金と条件認証手数料差額
99万円・特例4条件を満たす15,000円基準
99万円・特例条件から外れる30,000円+15,000円
100万円〜300万円未満40,000円+25,000円
300万円以上50,000円+35,000円

引き算その3|登録免許税を半額にする(−75,000円)

引き算その3|登録免許税を半額にする(−75,000円)
  1. −75,000円

    市区町村の創業支援を修了すると、税率が半分になる

    もっとも効果額が大きいのに、もっとも知られていない制度です。国から認定を受けた市区町村が実施する「特定創業支援等事業」の支援を受け、証明書の交付を受けると、設立登記の登録免許税が半額になります。

    株式会社なら税率0.7%が0.35%に、最低税額15万円は75,000円に。合同会社なら6万円が3万円になります。効果額だけ見れば、3つの引き算のなかで最大です。

    支援の中身は自治体によりますが、経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野について、1ヶ月以上かつ4回以上の継続的な支援を受けるのが一般的な要件です。創業セミナーや個別相談という形で提供されています。

使う手順:①本店を置く予定の市区町村が認定を受けているか確認する → ②指定された支援をすべて受講する → ③自治体に証明書の発行を申請する → ④交付された証明書の原本を登記申請書に添付する。

時間の制約:支援に1ヶ月以上、証明書の交付にさらに数日〜2週間かかります。設立を急いでいる人は使えません。逆に、設立まで2ヶ月以上の余裕があるなら、検討する価値は十分にあります。

対象外になる例:すでに会社を経営していて2社目を作る場合、対象外です。また創業予定または創業後5年未満であることが条件です。
3つの引き算による費用の減り方

3つ全部を適用した結果

3つ全部を適用した結果
引 き 算 後 の 明 細
登録免許税(特定創業支援等事業の証明あり)75,000円
定款認証手数料(特例・資本金99万円)15,000円
収入印紙代(電子定款のため不要)0円
定款の謄本交付手数料約2,000円
会社印鑑3本セット(既製品)約6,000円
登記事項証明書・印鑑証明書約1,500円
合計 −159,000円99,500円

258,500円が99,500円になりました。削ったのは手数料だけで、会社の中身は一切変えていません——ただし資本金は300万円から99万円に下げています。ここだけは事業判断が必要な部分です。

設立費用と開業に必要なお金は別ものという注意

資本金を下げることの、本当のコスト

資本金を下げることの、本当のコスト

費用を最小にするために資本金99万円を選ぶと、認証手数料は下がります。ただし資本金は対外的に見られる数字でもあります。実際に影響が出るのは次の3場面です。

法人口座の審査。資本金が極端に少ないと、事業の実体を疑われることがあります。1円設立で口座開設が止まった、という話は現実にあります。ただし99万円であれば、この点で問題になることはまずありません。

創業融資の審査。日本政策金融公庫の創業融資では、自己資金がどれだけ準備できているかが見られます。資本金がそのまま自己資金の評価になるわけではありませんが、無関係でもありません。融資を前提にしているなら、資本金を絞りすぎない設計のほうが説明しやすくなります。

取引先の与信。登記事項証明書には資本金額が載ります。BtoBで大手企業と取引する場合、この数字を見られる可能性はあります。とはいえ、設立直後の会社に対して資本金の多寡で判断する取引先は多くありません。

総合すると、資本金99万円は費用面と信用面のバランスが良い設定です。逆に、1,000万円以上にすると消費税の免税期間を失い、法人住民税の均等割も上がるため、特別な理由がないかぎり避けるのが定石になります。

設立費用と、開業に必要なお金は別枠

設立費用と、開業に必要なお金は別枠

ここまで計算したのは、あくまで会社を登記するための手数料です。事業を始めるためのお金は1円も含まれていません。PC、ソフトウェア、名刺、ウェブサイト、機材、仕入、そして売上が立つまでの自分の生活費。これらは別枠で用意する必要があります。

実務上の目安として、設立費用の10〜20倍を運転資金として見ておくと、初年度で資金が尽きる事態を避けやすくなります。設立費用が10万円なら、100〜200万円。この数字は業種によって大きく変わりますが、「設立費用しか用意していない」状態で始めるのは危険だという点は共通します。

できます。登録免許税や定款認証手数料など、会社設立のためにかかった費用は「創立費」として計上できます。設立後に開業準備で使った費用は「開業費」です。どちらも繰延資産として扱え、任意のタイミングで償却できるため、黒字が出た期にまとめて費用化するという使い方ができます。

会社設立のために支出したものであれば、創立費・開業費として会社の費用にできます。ただし領収書が必要です。宛名は会社名にできないので個人名で構いませんが、何のための支出かを記録しておいてください。設立後に会社から個人へ精算する形になります。

実費(登録免許税など)はどちらも同額かかります。0円なのは代行手数料の部分だけで、多くは税理士の顧問契約や会計ソフトの年間契約が条件です。どのみち税理士を頼む予定があるなら得ですが、頼む予定がないなら、契約期間の縛りを確認してから判断してください。

専門家に頼む場合、費用はどこまで増えるか

専門家に頼む場合、費用はどこまで増えるか

ここまでは自分で手続きする前提で計算してきました。専門家に依頼する場合、実費に報酬が上乗せされます。相場感を整理しておきます。

司法書士に設立登記を一括で依頼する場合、報酬は5〜10万円が目安です。定款作成から登記申請まで通しで任せられるため、こちらが用意するのは基本事項の決定と印鑑証明書くらいになります。許認可が絡む場合や、複数の出資者がいる場合は、これより高くなることがあります。

行政書士に電子定款の作成だけを依頼する場合は5,000〜10,000円。収入印紙4万円が浮くので、差し引きで3万円以上得になります。設立手続きのなかで、費用対効果がもっともはっきりしているのがこの依頼です。

税理士事務所が提供する「設立手数料0円」のサービスは、顧問契約とセットになっている形が一般的です。月額の顧問料が2〜4万円、決算申告料が別途10〜20万円というのが小規模法人での相場なので、年間トータルでは数十万円の支出になります。どのみち税理士を頼む予定があるなら合理的な選択ですが、当面は自分で経理を回すつもりなら、契約期間の縛りを確認してから判断してください。

もうひとつ考慮すべきなのが、依頼すると特定創業支援等事業の証明を使いにくくなる場合があるという点です。証明書の取得には1ヶ月以上の支援受講が必要で、依頼先のスケジュールと合わないことがあります。効果額75,000円と報酬50,000〜100,000円を比べると、この判断は無視できません。急がないのであれば、先に創業支援を受けてから依頼するのが最も安く済みます。

まとめ

まとめ
株式会社の初期費用、6つの結論
  1. 何もしなければ約25万円。3つの引き算で9万円台まで落ちる
  2. 電子定款で収入印紙4万円が不要になる(条件なし)
  3. 一人・資本金100万円未満・取締役会なしで、認証手数料が15,000円
  4. 特定創業支援等事業の証明で、登録免許税が半額の75,000円になる
  5. 効果額最大は創業支援の証明だが、支援に1ヶ月以上かかる
  6. 設立費用の10〜20倍を運転資金として別に用意しておく
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください 検索キーワード:会社 立ち上げ 初期費用 株式会社 / 20 サイト

「会社 立ち上げ 初期費用 株式会社」で検索すると、24万円・22万円・11万円と、記事によって金額が違います。これは紙定款か電子定款か、資本金をいくらに置いているか、印鑑代や証明書代を含めているかという前提の差です。金額を比べるときは、まずその前提を確認してください。

  1. freee|会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説設立費用に加えて、設立後の維持費まで一続きで扱っています。
  2. ベンチャーサポート|会社設立の費用は11万〜24万円!株式会社と合同会社・設立前後のコスト設立前後のコストを分けて整理しており、総額の見積もりに使えます。
  3. 弥生|会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の法人設立費用を比較解説両形態を並べた比較。差額がどこから来るかが分かります。
  4. マネーフォワード クラウド会社設立|会社設立でかかる維持費や年間費用は?毎年かかる費用に焦点を当てた記事。初期費用と合わせて読むと総額が見えます。
  5. サン共同税理士法人|会社設立する時にかかる費用はどのくらい?株式会社と合同会社の違い税理士法人による解説。税務面の視点が入っています。
  6. freee|一人で会社を作るときに必要な費用は?会社設立や事業開始にかかる費用設立費用だけでなく事業開始にかかる費用にも触れており、資金計画に使えます。
  7. 創業融資ガイド|株式会社を設立する際にかかる費用とその内訳融資の視点から書かれた記事。資金調達を前提にした費用の考え方が分かります。
  8. 中小企業庁|会社設立時の登録免許税の軽減について特定創業支援等事業による登録免許税半額制度の一次情報です。
  9. 弥生|会社設立にかかる登録免許税とは?計算方法や半額にする方法を解説登録免許税の計算方法と半額制度を、具体例つきで説明しています。
  10. ベンチャーサポート|会社設立時の登録免許税とは?半額制度や納付方法などを解説【早見表あり】資本金別の登録免許税の早見表があり、金額を確認しやすい記事です。
  11. 大阪市|特定創業支援等事業について自治体の公式ページ。証明書の申請方法と支援内容の実例が確認できます。
  12. 司法書士法人C-first|会社設立の登録免許税が半額になる?司法書士による解説。登記実務での証明書の扱いに触れています。
  13. 司法書士福原誠事務所|会社設立時の登録免許税を半額にする方法半額制度の要件と手順を、実務者の視点で整理しています。
  14. あなたのまちの司法書士事務所グループ|設立登記の登録免許税軽減(創業支援事業)軽減措置の対象と手続きの流れをまとめています。
  15. 司法書士おおざわ事務所|会社設立の費用・税金を半額にする方法を専門家が解説証明書取得までのスケジュール感に触れており、日程を組む参考になります。
  16. エントレ|【お得な制度活用】会社設立時の登録免許税を半額するには?制度の使い方を手順ごとに説明しています。
  17. 日本公証人連合会|定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか定款認証手数料の一次情報。金額を確定させるときはここを見ます。
  18. RSM汐留パートナーズ司法書士法人|株式会社の定款認証に係る公証人手数料の一部改定2024年12月の手数料改定について、司法書士の視点で解説しています。
  19. 司法書士法人永田町事務所|定款認証の手数料が半額になりました。令和6年12月改定のポイント半額特例の4条件を具体的に整理。該当するか判定するのに便利です。
  20. 法務省|株式会社の設立手続(発起設立)について登記申請書の様式と記載例。登録免許税の納付方法もここで確認できます。

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著者:合同会社commit / 合同会社FIELD 共同編集部

本記事は、合同会社commit(コンサルティング/Webマーケティング/Web制作)と 合同会社FIELD(事業グロース支援/人材/ITスクール)の共同編集部が制作しています。両社ともに合同会社として設立・運営しており、一人・少人数での法人設立と設立後の実務を、自らの経験も踏まえて扱っています。

記事は、法務省・法務局・国税庁・日本年金機構・中小企業庁・日本公証人連合会などの一次情報を確認したうえで作成し、合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら編集しています。参照元は各セクションの末尾に明示しています。ただし制度・手数料は改正されるため、手続きの際は必ず所管官庁の最新情報をご確認ください。個別具体的な判断については、税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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