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合同会社の初期費用は「6万円」では終わらない。通帳から実際に出ていく額は約8万円

最終更新 2026年8月15日 読了目安 約11分 文字数 約6,268字
合同会社の初期費用は「6万円」では終わらない。通帳から実際に出ていく額は約8万円
「合同会社は6万円で作れる」という言い方は、正しくもあり誤解のもとでもあります。6万円は登録免許税だけの金額で、実際に通帳から出ていくのは約8万円。印鑑代、証明書代、電子定款の代行費が乗るからです。この記事では支出を記帳の順に並べ、紙定款にすると何が増えるか、登録免許税を3万円にする方法、そして資本金が費用ではない理由を整理しました。

「合同会社は6万円で作れる」——この言い方は正しくもあり、誤解のもとでもあります。6万円というのは登録免許税だけの金額で、実際に通帳から出ていく額はもう少し多いからです。

この記事では、合同会社を一人で作るときに実際に動くお金を、通帳の記帳を追うような形で並べます。金額はすべて2026年8月時点のものです。

実際に通帳から出ていく順に並べる

実際に通帳から出ていく順に並べる
合同会社設立|支出の記録(電子定款・出資額99万円)単位:円
摘要
支出
累計
会社印鑑3本セット(既製品・彫刻込み)
6,000
6,000
個人の印鑑証明書(1通)
300
6,300
電子定款の署名代行(依頼した場合)
8,000
14,300
登録免許税(出資額×0.7%、最低6万円)最大項目
60,000
74,300
登記事項証明書(3通)
1,800
76,100
会社の印鑑証明書(2通)
900
77,000
郵送費・交通費
2,000
79,000
合計
79,000

約8万円。よく見る「6万円」との差は、印鑑代と証明書代と電子定款の代行費です。どれも省けない実費なので、資金計画を立てるときはこの8万円で見ておくほうが安全です。

合同会社設立で実際に出ていく費用の内訳

紙の定款にすると、いくら増えるか

紙の定款にすると、いくら増えるか

電子定款にしなければ、収入印紙4万円が上乗せされます。合同会社の設立費用は全体が小さいので、4万円の重みは株式会社より大きく感じられます。約8万円が約12万円になり、率にして5割増しです。

紙定款と電子定款の費用比較
判断の目安:自分でマイナンバーカードとICカードリーダーを用意して電子署名するなら、追加費用はほぼゼロ。カードリーダーを買っても3,000円程度です。ただし環境構築に2〜6時間かかります。代行に出すと5,000〜10,000円。どちらを選んでも紙定款より安いので、紙を選ぶ理由は「今すぐ設立したいが、電子の準備が間に合わない」場合に限られます。

登録免許税が6万円で済まないケース

登録免許税が6万円で済まないケース

合同会社の登録免許税は「出資額×0.7%、ただし最低6万円」です。つまり出資額が一定を超えると、6万円では収まりません。境目は約857万円です。

出資額(資本金)登録免許税備考
1円〜857万円程度60,000円最低税額が適用される
1,000万円70,000円ただし消費税の免税を失う
2,000万円140,000円均等割も上がる可能性
5,000万円350,000円

実務では、出資額を1,000万円未満に抑えるのがほぼ定石です。理由は登録免許税ではなく、消費税。設立時の資本金が1,000万円以上だと、初年度から消費税の課税事業者になってしまいます。

登録免許税を3万円にする方法がある

登録免許税を3万円にする方法がある

特定創業支援等事業の証明書を使う

本店を置く市区町村が国の認定を受けていれば、その自治体の創業支援(セミナーや個別相談)を修了することで証明書が交付されます。これを登記申請書に添付すると、登録免許税が半額の30,000円になります。合同会社の設立費用全体が8万円ほどなので、3万円の減額は率にして4割近い効果です。

使うための条件と時間:支援は1ヶ月以上・4回以上の受講が一般的な要件です。証明書の交付申請から発行までさらに数日〜2週間。設立まで2ヶ月以上の余裕がある人向けの制度と考えてください。また、すでに会社を経営していて2社目を作る場合は対象外です。
合同会社の費用で確認しておく6点

印鑑にいくらかけるか、で数万円変わる

印鑑にいくらかけるか、で数万円変わる

合同会社の設立費用のうち、唯一「自分で金額を決められる項目」が印鑑代です。登録免許税も証明書代も定額ですが、印鑑だけは5,000円から3万円以上まで幅があります。設立費用全体が8万円ほどなので、ここの選び方は無視できません。

必要なのは、代表社員印(会社実印)、銀行印、角印の3本。登記に必須なのは実印だけですが、銀行印を分けずに実印を法人口座の届出印にすると、実印を持ち出す機会が増えてしまいます。角印は請求書や見積書に押すもので、取引が始まればほぼ確実に必要になります。

素材による価格差は、耐久性の差です。柘(つげ)などの木材系は3本セット5,000円台から。黒水牛や本柘は1万円前後。チタンやオニキスになると3万円を超えます。一人会社で押印の頻度が多くないなら、木材系でまったく問題ありません。10年単位で使い続けることを考えると、真ん中の価格帯を選ぶ人が多い印象です。

サイズには規定があります。会社実印は、印影が辺の長さ1cmを超え3cm以内の正方形に収まる必要があります。既製品のセットを買う場合はほぼ規定内に収まっていますが、デザインにこだわって特注する場合は確認してください。規定外だと印鑑届書が受理されず、登記が止まります。

資本金は「費用」ではない

資本金は「費用」ではない
資本金は費用ではないという説明

設立費用を計算していると、資本金も出ていくお金のように感じられます。しかし資本金は会社の口座に入るお金であって、消えるわけではありません。設立後は運転資金として使えます。

本当に消えるのは、登録免許税、印紙代、証明書代、印鑑代、専門家報酬です。合同会社なら、この「消える費用」が8万円前後。それとは別に、事業を回すためのお金として資本金を用意する、という二段構えで考えると計算が合います。

では資本金はいくらにするか。一人の合同会社なら、当面の運転資金3〜6ヶ月分が目安になります。家賃も仕入もない業態なら50〜100万円、機材や在庫が必要なら300万円以上。金額の根拠を説明できる状態にしておくと、法人口座の審査でも創業融資でも通りやすくなります。

設立後、毎年かかる費用も見ておく

設立後、毎年かかる費用も見ておく

初期費用の安さで合同会社を選ぶ人は多いのですが、維持費の差はほとんどありません。会社形態で変わるのは、決算公告の義務と役員任期の管理だけです。

毎年かかるもの金額の目安形態による差
法人住民税の均等割(赤字でも)年70,000円〜差なし
社会保険料(役員1人・報酬20万円)年680,000円前後差なし
会計ソフト年24,000〜60,000円差なし
税理士顧問+決算申告年300,000〜500,000円差なし
決算公告(官報)年70,000円前後合同会社は不要
役員の改選登記(10年ごと)10,000円合同会社は不要

年あたりに直すと、合同会社が安いのはせいぜい数千円から1万円程度。維持費の差で会社形態を選ぶ意味はほとんどないということになります。差が出るのは入口の12万円だけです。

法律上は可能です。ただし設立費用の8万円は会社の口座から払えないため、代表者個人が立て替えることになります。また法人口座の審査で事業の実体を確認される場面が増えます。実務上は、少なくとも設立費用と数ヶ月分の固定費をまかなえる額にしておくのが無難です。

できます。設立のためにかかった費用は「創立費」、設立後に開業準備で使った費用は「開業費」として計上できます。どちらも繰延資産なので、償却のタイミングを自分で選べます。黒字が出た期にまとめて費用化するという使い方が可能です。領収書は必ず残してください。

司法書士に一括で依頼した場合、報酬の相場は3〜7万円です。株式会社より手続きが少ないぶん安めですが、設立費用全体に対する比率で見ると重く感じられます。電子定款だけの依頼(5,000〜10,000円)にとどめるのが、合同会社では費用対効果の良い選択になりやすいです。

設立費用を、いつ・誰が払うのか

設立費用を、いつ・誰が払うのか

細かい話ですが、実務では意外とつまずくポイントです。設立登記が完了するまで、会社の口座は存在しません。したがって登録免許税も印鑑代も証明書代も、すべて代表社員個人が立て替えることになります。

立て替えた分は、設立後に会社から精算できます。会計上は「創立費」——会社設立のためにかかった費用——として計上します。設立後に開業準備で使った費用は「開業費」です。どちらも繰延資産なので、償却するタイミングを自分で選べるという特徴があります。

これが地味に効きます。設立初年度は赤字になりやすく、そこで費用化しても税金は減りません。繰延資産にしておけば、黒字が出た期にまとめて費用化できます。数万円の話ではありますが、制度として使えるものは使っておくに越したことはありません。

注意点は領収書です。会社設立前の支出なので、宛名は個人名で構いません。ただし何のための支出かが分かるようにしておく必要があります。登録免許税は収入印紙を貼った申請書の控えで、印鑑代や証明書代は領収書やレシートで。設立準備用に封筒を1つ用意して、そこに全部入れておくのが確実です。

まとめ

まとめ
  • 「6万円」は登録免許税だけ。実際に出ていくのは約8万円
  • 紙の定款を選ぶと収入印紙4万円が上乗せ、約12万円になる
  • 出資額857万円までは登録免許税6万円。1,000万円以上は消費税で不利
  • 特定創業支援等事業の証明があれば登録免許税は30,000円
  • 資本金は費用ではなく、会社に残る運転資金
  • 維持費は株式会社とほぼ同じ。安いのは入口だけ
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください 検索キーワード:会社 立ち上げ 初期費用 合同会社 / 20 サイト

「会社 立ち上げ 初期費用 合同会社」で調べると、6万円・10万円・11万円と数字が分かれます。登録免許税だけを指しているのか、印紙代を含めるのか、印鑑や証明書まで入れているのか。同じ言葉でも指している範囲が違うので、内訳の項目まで見て比べるのが確実です。

  1. 弥生|合同会社の設立費用はいくら?自分で登記する際の登録免許税や資本金の相場登録免許税と資本金の相場を、自分で登記する前提で扱っています。
  2. マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社の設立費用はいくら?内訳・スケジュール・節約方法内訳と節約方法を並べて示しており、この記事と近い切り口です。
  3. タケバ会計事務所|合同会社の会社設立ガイド!費用6万円からの手順と必要書類6万円という数字の根拠を、手順と一緒に説明しています。
  4. IDEMAE|合同会社の設立費用はいくらかかる?自分で設立する場合の内訳・安く抑える方法実費の細目まで踏み込んでおり、印鑑代や証明書代の相場が分かります。
  5. リーパル会計事務所|合同会社設立の流れを6ステップで解説|費用・必要書類・失敗しない手順税理士監修。費用と手順を対応づけて説明しています。
  6. 弥生|会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の法人設立費用を比較解説両形態の比較。差額がどの項目から生じるかが整理されています。
  7. freee|会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説設立費用と維持費を一続きで扱っており、総コストを考えるのに向いています。
  8. ベンチャーサポート|会社設立の費用は11万〜24万円!株式会社と合同会社・設立前後のコスト設立前後のコストを分けて整理した記事です。
  9. マネーフォワード クラウド会社設立|会社設立でかかる維持費や年間費用は?毎年かかる費用に焦点を当てており、形態による差が確認できます。
  10. 中小企業庁|会社設立時の登録免許税の軽減について登録免許税半額制度の一次情報。合同会社の3万円もここで確認できます。
  11. 弥生|会社設立にかかる登録免許税とは?計算方法や半額にする方法を解説出資額と登録免許税の関係が計算式つきで説明されています。
  12. ベンチャーサポート|会社設立時の登録免許税とは?半額制度や納付方法【早見表あり】資本金別の早見表があり、6万円で収まる範囲を確認できます。
  13. みずほ銀行|合同会社の作り方は?自分で設立する流れや手順、必要書類を解説金融機関の解説。法人口座を前提にした書類の揃え方に触れています。
  14. freee|合同会社を設立する流れとは?自分一人で手続きする方法や必要書類・費用一人で作る前提での費用と書類が整理されています。
  15. 千代田税理士法人|合同会社設立は自分でできる?流れと設立後にやること4選設立後の費用まで含めて扱っています。
  16. サン共同税理士法人|会社設立する時にかかる費用はどのくらい?株式会社と合同会社の違い税理士法人の視点。税務面を含めた費用の考え方が分かります。
  17. 創業融資ガイド|株式会社を設立する際にかかる費用とその内訳融資を前提にした費用の見方。資本金の考え方の参考になります。
  18. 大阪市|特定創業支援等事業について自治体の公式ページ。証明書の申請手順の実例が確認できます。
  19. 司法書士法人C-first|会社設立の登録免許税が半額になる?登記実務での証明書の扱いに触れた解説です。
  20. 法務省|株式会社の設立手続(発起設立)について登記の一次情報。合同会社の様式も法務局サイトから辿れます。

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著者:合同会社commit / 合同会社FIELD 共同編集部

本記事は、合同会社commit(コンサルティング/Webマーケティング/Web制作)と 合同会社FIELD(事業グロース支援/人材/ITスクール)の共同編集部が制作しています。両社ともに合同会社として設立・運営しており、一人・少人数での法人設立と設立後の実務を、自らの経験も踏まえて扱っています。

記事は、法務省・法務局・国税庁・日本年金機構・中小企業庁・日本公証人連合会などの一次情報を確認したうえで作成し、合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら編集しています。参照元は各セクションの末尾に明示しています。ただし制度・手数料は改正されるため、手続きの際は必ず所管官庁の最新情報をご確認ください。個別具体的な判断については、税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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