設立登記を自分でやる。一人で会社を立ち上げる人のための申請手順
設立登記は、会社を一人で立ち上げる過程で唯一「国に会社を認めてもらう」手続きです。ここを通過して初めて会社が存在します。
司法書士に頼めば5〜10万円ほど。ただ、一人で会社を立ち上げる規模なら、自分でやっても失敗しにくい部類の手続きです。判断が必要な場面がほとんどないからです。
自分でやるか、頼むかの分かれ目

まず、自分でやって問題ない会社設立かどうかを確認します。次の条件にすべて当てはまるなら、一人で進めて構いません。
- 発起人も役員も自分ひとり(意見が割れる相手がいない)
- 出資は現金のみ(車やパソコンを出資する「現物出資」がない)
- 設立日を1日単位で指定する必要がない
- 許認可の期限に追われていない
逆に、現物出資がある・共同創業者がいる・設立日が契約で決まっている場合は、司法書士に頼んだほうが結果的に安くつきます。やり直しの手間と日数が読めないからです。
| 自分でやる | 司法書士に頼む | |
|---|---|---|
| 費用 | 0円(実費のみ) | 5〜10万円ほど |
| 準備にかかる時間 | 初めてなら合計8〜15時間 | 1〜2時間(打ち合わせと押印) |
| 補正が出たとき | 自分で法務局に行き直す | 代理人が対応する |
| 向いている人 | 一人・現金出資・日程に余裕がある | 共同創業・現物出資・設立日指定あり |
先にそろえる書類

登記申請の日までに、次が終わっている必要があります。順番を間違えると出し直しになります。
- 定款を作る株式会社は公証役場の認証まで。合同会社は認証不要で、作って製本するだけです。
- 資本金を払い込む発起人個人の口座に、定款作成日より後の日付で振り込みます。通帳の該当ページをコピーします。
- 印鑑を用意する会社の実印を作り、個人の印鑑証明書(発行3か月以内)を取ります。
なお払込先は、まだ会社の口座ではありません。法人口座は登記が終わってからでないと作れないため、発起人である自分の個人口座に振り込みます。
登記申請書と添付書類をそろえる

一人で会社を立ち上げる場合に必要になる書類です。会社の形態で少し変わります。
| 書類 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 登記申請書 | 必要 | 必要 |
| 登録免許税納付用台紙(収入印紙を貼る) | 必要 | 必要 |
| 定款 | 認証済みのもの | 作成したもの |
| 払込証明書 | 必要 | 必要 |
| 設立時取締役の就任承諾書 | 必要 | 不要 |
| 代表社員の就任承諾書 | 不要 | 定款で定めていなければ必要 |
| 印鑑証明書(個人) | 必要 | 必要 |
| 印鑑届書 | 必要 | 必要 |
| 登記すべき事項(CD-Rまたはテキスト) | 必要 | 必要 |
書式は法務局のサイトに記載例つきのひな形があります。一人の会社なら、そこに自分の情報を入れるだけで完成します。
登録免許税を納める

登録免許税は、会社設立の登記に対してかかる税金です。金額は資本金で変わります。
(資本金×0.7%と比較して高いほう)
(同じく0.7%と比較)
登記でかかるお金
資本金2,143万円までは株式会社が15万円、857万円までは合同会社が6万円で固定です。一人で会社を立ち上げる場合、ほぼ全員がこの最低額に収まります。
納め方は、法務局や郵便局で収入印紙を買い、A4の白紙(登録免許税納付用台紙)に貼るだけです。消印は押しません。押してしまうと使えなくなります。
法務局に出す

提出先は、本店所在地を管轄する法務局です。都道府県に1つではなく、区や市ごとに分かれていることが多いので、事前に管轄を確認してください。
重要なのは、申請した日が会社の設立日になることです。窓口なら持参日、郵送なら法務局に届いた日です。大安に設立したい、月初にそろえたいといった希望があるなら、逆算して出してください。
オンライン申請という選択

法務局は、株式会社・合同会社ともに代表者本人がマイナンバーカードで申請できるオンライン手続きを案内しています。一人で会社を立ち上げる場合、役員が自分だけなので条件を満たしやすい方式です。
- マイナンバーカードとICカードリーダライタが必要
- 電子署名を使うことで、一部の添付書類の提出が不要になる
- 申請用総合ソフトを自分のパソコンに入れて操作する
- 登録免許税は電子納付(インターネットバンキング等)で納められる
法務省は、一人会社の設立登記について完全オンライン申請を勧める案内も出しています。ただし、初めて使う人にとっては、ソフトの導入と操作の学習が必要です。窓口に1回行くほうが早い場合もあります。
| 窓口・郵送 | オンライン | |
|---|---|---|
| 必要な機材 | なし | マイナンバーカード+ICカードリーダ |
| 添付書類 | 紙で全部そろえる | 一部が電子署名で省ける |
| 登録免許税 | 収入印紙 | 電子納付も可 |
| 最初の手間 | 小さい | ソフトの導入が必要 |
| 向いている人 | 初めての会社設立 | 今後も変更登記を自分で出す人 |
補正の連絡が来たら

申請後、法務局から電話が来ることがあります。これが補正です。会社設立の登記では珍しくないので、慌てる必要はありません。
一人での会社設立でよくある補正の理由です。
- 払込みの日付が定款作成日より前になっている
- 印鑑証明書の発行から3か月を過ぎている
- 契印が抜けているページがある
- 登記すべき事項の記載と定款の記載が食い違っている
- 本店の表記が住居表示と違う(「丁目」「番地」の書き方)
多くはその場で直せる程度のものです。ただし直しに法務局へ行く必要がある場合、その分だけ登記完了が遅れます。設立日そのものは申請日のままなので、そこは変わりません。
登記が終わったら、すぐ取る書類

申請から3日〜1週間ほどで登記が完了します。完了の連絡は基本的に来ないので、申請時に伝えられた完了予定日以降に自分で確認します。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)を取る1通600円。法人口座の開設、税務署への届出、社会保険の手続きで使うので、最初に3〜5通取っておくと足りなくなりません。
- 印鑑カードを作り、印鑑証明書を取る印鑑カードの交付は無料。カードがないと会社の印鑑証明書が取れません。1通450円です。
- 税務署・都道府県・市町村に届出を出す法人設立届出書、青色申告の承認申請書など。青色申告は期限が厳しいので先に出します。
1通あたり
1通あたり
の提出期限の目安
会社を一人で立ち上げると、この後の届出も全部自分でやることになります。登記完了の日を起点に期限が決まるものが多いので、証明書を取った日に、次にやることを書き出しておくと抜けません。
まとめ

- 一人・現金出資・日程に余裕があるなら、自分で出して問題ない
- 定款 → 資本金の払込み → 印鑑証明書の順で先に終わらせる
- 払込みの日付は必ず定款作成日より後にする
- 登録免許税は株式会社15万円・合同会社6万円が最低額。印紙に消印はしない
- 申請した日が設立日になる。設立日にこだわるなら逆算して出す
- マイナンバーカードがあればオンライン申請もできる
- 補正の電話は落ちたという意味ではない。日中つながる番号を書く
- 完了後すぐ、登記事項証明書と印鑑証明書をまとめて取る
「会社 立ち上げ 登記 自分で」で調べている方に向けて書きました。同じキーワードで検索すると次のようなサイトも出てきます。会社を一人で立ち上げるとき、書き手の立場によって触れている論点が変わるので、あわせて読むと判断材料が増えます。
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