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定款の事業目的はどこまで書くか。一人で会社を立ち上げるときの決め方

最終更新 2026年8月15日 読了目安 約10分 文字数 約5,742字
定款の事業目的はどこまで書くか。一人で会社を立ち上げるときの決め方
会社を一人で立ち上げるとき、定款でいちばん手が止まるのが事業目的です。抽象的すぎると法人口座の審査で止まり、細かすぎると事業を増やすたびに3万円かかります。この記事では、会社設立の事業目的を決める基準を、業種別の書き方・許認可との関係・数の目安・あとから変える場合の費用まで含めて整理しました。

会社を一人で立ち上げると決めて、商号も本店も資本金も決まった。それでも定款が書けない——という状態になったら、たいてい原因は事業目的です。

事業目的は、会社設立の書類のなかで唯一「正解が用意されていない」項目です。ひな形を写せば済むものではなく、自分の事業を言葉にする必要があります。

事業目的は、何のために書くのか

事業目的は、何のために書くのか

事業目的は、会社が行える事業の範囲を定めるものです。登記簿に載るため、取引先も金融機関も誰でも見られます。会社を一人で立ち上げる場合でも、この点は変わりません。

実務で効いてくるのは次の3場面です。

法人口座の開設審査
金融機関は事業目的から「何をする会社か」を読み取ります。実体が見えないと審査で止まります。
許認可の申請
建設業や人材紹介などは、事業目的に所定の文言がないと申請そのものが受け付けられません。
取引先の与信確認
登記事項証明書を提出する場面で、事業目的が取引内容と合っているかを見られます。
「範囲外の事業をやったら違法」ではない
定款の事業目的に書いていない事業を行っても、それ自体で罰則があるわけではありません。ただし許認可が下りない・口座が作れない・取引先に説明できないという実務上の不都合が生じます。会社設立の段階で、実際にやることは書いておくのが前提です。

どのくらい具体的に書けばいいのか

どのくらい具体的に書けばいいのか

抽象的すぎても具体的すぎても実務で困ります。判断の基準は「第三者が読んで、何をする会社か想像できるか」です。

書き方評価
抽象的すぎるコンサルティング業何のコンサルか分からない。口座審査で説明を求められる
ちょうどよい経営コンサルティング業分野が分かる。実務でも通る
ちょうどよいWebサイトの企画・制作・運営業務が具体的に想像できる
細かすぎる美容室向けInstagram運用代行業対象を絞りすぎ。少し広げるだけで変更登記が必要になる

一人で会社を立ち上げる場合、事業が育つ過程で対象や手法が変わることがよくあります。細かく限定しすぎると、そのたびに定款変更と登記が必要になります。

業種別の書き方の例
IT・Web系なら「ソフトウェアの企画・開発・販売」「Webサイトの企画・制作・運営」「インターネットを利用した各種情報提供サービス」。コンサル系なら「経営コンサルティング業」「マーケティングに関する企画・立案・コンサルティング」。物販なら「日用品雑貨の輸入・販売」「インターネットによる通信販売」。いずれも手段+対象の形にすると読みやすくなります。

将来の事業を、どこまで入れておくか

将来の事業を、どこまで入れておくか

会社設立のあとで事業目的を追加するには、定款変更と変更登記が必要です。登録免許税は3万円。司法書士に依頼すればさらに報酬がかかります。

30,000円
事業目的を追加する
変更登記の登録免許税
0円
会社設立時に
一緒に書いておく費用
5〜10項目
一人で立ち上げる場合の
現実的な目安

だからこそ、2〜3年以内にやる可能性のある事業は、会社設立の時点で入れておくのが定石です。書いても費用は増えません。

たとえばWeb制作で一人で会社を立ち上げるなら、制作だけでなく「Webサイトの運用・保守」「デジタルマーケティングに関する企画・コンサルティング」「各種セミナーの企画・運営」あたりまで入れておくと、事業が広がったときに登記をやり直さずに済みます。

末尾に包括条項を置く
「前各号に附帯関連する一切の事業」——この一文を最後に入れておくと、書いた事業に付随する細かい業務をいちいち列挙しなくて済みます。ほぼすべての定款に入っている定型句なので、一人で会社を立ち上げる場合も必ず入れてください。

書きすぎると、逆に困ることがある

書きすぎると、逆に困ることがある

「あとで足すと3万円かかるなら、思いつくかぎり書いておこう」——これをやりすぎると、別の問題が起きます。

関連性のない事業を20も30も並べると、登記簿を見た人が「何をする会社か分からない」状態になります。金融機関は法人口座の開設審査で事業の実体を確認するため、会社設立の直後ほどこれが不利に働きます。

  • 飲食店経営、不動産売買、人材派遣、輸出入、コンサルティング……と脈絡なく並んでいる
  • 許認可が必要な事業ばかりで、実際にはどれも許可を取っていない
  • 資本金の規模と事業内容が明らかに釣り合っていない

こうした定款は、口座開設で追加の説明を求められたり、断られたりすることがあります。一人で会社を立ち上げる場合、資本金も小さいことが多いため、なおさら整合性を見られます。

目安は5〜10項目、系統をそろえる
一人での会社設立なら、事業目的は5〜10項目に収めるのが自然です。数より大事なのは系統がそろっていること。「Web制作 → 運用 → マーケティング支援 → セミナー」のように、ひとつの流れとして読めるかどうかを基準にしてください。

許認可が必要な業種は、文言が要件になる

許認可が必要な業種は、文言が要件になる

許認可が必要な業種では、事業目的の書き方そのものが許可の要件になります。文言が要件を満たしていないと、会社設立の後で変更登記からやり直しになります。

業種必要な許認可所管
建設業建設業許可都道府県/国土交通省
人材紹介・派遣有料職業紹介事業許可/労働者派遣事業許可都道府県労働局
中古品の売買古物商許可警察署
飲食店飲食店営業許可保健所
不動産仲介宅地建物取引業免許都道府県/国土交通省
運送業一般貨物自動車運送事業許可運輸支局

該当する可能性があるなら、定款を書く段階で所管官庁の記載例を確認するか、行政書士に事業目的の文言だけ見てもらうのが確実です。会社設立を一人で進める場合でも、ここだけは確認する価値があります。

あとで気づくと、3万円+2週間
設立後に「この目的では許可が下りません」と言われると、定款変更・変更登記(3万円)・許認可申請のやり直しが発生します。日数にして2週間前後。一人で立ち上げていると、この間は事業を始められません。

書き方の実務:順番と体裁

書き方の実務:順番と体裁

事業目的は、定款の第2条あたりに置かれるのが通例です。体裁もほぼ決まっているので、ひな形どおりに書けば問題ありません。

第2条(目的)
当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1. Webサイトの企画・制作・運営
2. ソフトウェアの企画・開発・販売
3. デジタルマーケティングに関する企画・立案・コンサルティング
4. 各種セミナー・研修の企画・運営
5. 前各号に附帯関連する一切の事業
  • 番号は算用数字でも漢数字でもよい(ひな形にそろえる)
  • 並び順は、主力事業を上に置くのが一般的
  • 包括条項は必ず最後
  • 「業」「事業」の表記は統一する

なお、株式会社の場合は公証役場の事前チェックで表現の指摘が入ることがあります。合同会社には認証がないため、自分で確認するしかありません。一人で合同会社を立ち上げるなら、複数のひな形を見比べてから決めてください。

あとから変えたくなったら

あとから変えたくなったら

会社を一人で立ち上げたあと、事業目的を追加・変更する手順です。難しくはありませんが、費用と日数がかかります。

  1. 定款変更を決議する株式会社なら株主総会の特別決議。一人なら自分が決めて議事録を作ります。合同会社なら総社員の同意です。
  2. 変更登記を申請する効力発生から2週間以内に本店所在地の法務局へ。登録免許税は3万円です。
  3. 登記完了後、必要な届出をする許認可が絡む場合は所管官庁へ、取引先には登記事項証明書を出し直します。
30,000円
登録免許税
2週間以内
決議から登記までの期限
3〜7日
登記完了までの日数
30,000円〜
司法書士に頼む場合の報酬

総額で3〜6万円。会社設立の時点で1行足しておけば0円だったことを考えると、最初に先読みしておく価値がわかります。

まとめ

まとめ
事業目的の決め方、7つの結論
  1. 事業目的は、法人口座の審査・許認可・取引先の確認で実際に見られる
  2. 粒度は「第三者が読んで何をする会社か想像できるか」で判断する
  3. 2〜3年以内にやる可能性のある事業は、会社設立の時点で入れておく
  4. 末尾に「前各号に附帯関連する一切の事業」を必ず置く
  5. 並べすぎると法人口座の審査で不利。5〜10項目、系統をそろえる
  6. 許認可業種は、事業目的の文言が要件。先に所管官庁の記載例を確認する
  7. あとから追加すると変更登記で3万円+日数がかかる
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください 検索キーワード:会社 立ち上げ 定款 事業目的 / 20 サイト

「会社 立ち上げ 定款 事業目的」で調べている方に向けて書きました。同じキーワードで検索すると次のようなサイトも出てきます。会社を一人で立ち上げるとき、書き手の立場によって触れている論点が変わるので、あわせて読むと判断材料が増えます。

  1. みずほ銀行|一人で会社を作る手順は?必要書類や費用、個人事業主との違いも解説金融機関の解説。法人口座の開設を前提にした書類の揃え方に触れています。
  2. 会社設立GOAL|一人で会社を作る手順を解説!費用や必要書類は?資本金1円から設立できるようになった背景と、実際にいくら入れるべきかを扱っています。
  3. みずほ銀行|合同会社の作り方は?自分で設立する流れや手順、必要書類を解説金融機関による解説。法人口座の開設まで見据えた書類の揃え方に触れています。
  4. 弥生|合同会社設立の流れは?自分で手続きする方法や必要書類、期間も解説期間の目安を工程ごとに示しているのが特徴です。
  5. 荒川会計事務所|【会社設立を自分でやる方法】全手順と注意点を税理士が解説税理士による解説。登記と定款作成の実務上の注意点が細かく書かれています。
  6. ひとりでできるもん|株式会社設立の必要書類&印鑑書類と印鑑をセットで扱っており、押印箇所の確認に使えます。
  7. 弥生|一人社長も社会保険の加入義務はある?会社設立時の手続きと必要書類一人社長の社会保険加入義務と、会社設立時に出す書類をまとめています。
  8. ひとりでできるもん|会社設立・会社変更を自分でできる登記書類作成支援クラウドサービス登記書類の作成を支援するサービス。自分で登記する場合の道具として使えます。
  9. 弥生|電子定款とは?自分で作成して署名・認証を受けるやり方も解説電子定款を自分で作る手順と、必要な機材が具体的です。
  10. 弥生|定款の事業目的の書き方は?業種別の記載例やポイント、注意点を解説事業目的の書き方を業種別の記載例つきで解説しています。
  11. 弥生|定款認証の必要書類は?電子定款の場合や公証役場の手続きについて解説公証役場に持っていく書類と、実質的支配者の申告書について扱っています。
  12. リーパル会計事務所|定款の作り方を完全解説|記載事項・書き方・認証手続きまで税理士監修。記載事項から認証手続きまで通しで解説しています。
  13. マネーフォワード クラウド会社設立|会社設立の流れを解説!株式会社設立の手順株式会社に絞った流れ・必要書類・費用をまとめた基本記事です。
  14. マネーフォワード クラウド会社設立|電子定款とは?作り方・認証の流れを解説!電子定款の作成から認証までの流れがまとまっています。
  15. タケバ会計事務所|合同会社の会社設立ガイド!費用6万円からの手順と必要書類6万円という数字の根拠を、手順と一緒に説明しています。
  16. リーパル会計事務所|合同会社設立の流れを6ステップで解説|費用・必要書類・失敗しない手順税理士監修。費用と手順を対応づけて説明しています。
  17. 法務省|一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!一人会社の完全オンライン申請について、法務省が案内している公式ページです。
  18. ひとりでできるもん|合同会社から株式会社への組織変更手続き|費用・期間・必要書類自分でやる前提での費用と必要書類がまとまっています。
  19. マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社を自分ひとりで設立するには?ひとり設立に絞って、手続きの流れ・必要書類・費用を整理しています。
  20. freee|合同会社を設立する流れとは?自分一人で手続きする方法や必要書類・費用を解説一人で設立する前提で、書類と費用を通しでまとめた記事です。

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著者:合同会社commit / 合同会社FIELD 共同編集部

本記事は、合同会社commit(コンサルティング/Webマーケティング/Web制作)と 合同会社FIELD(事業グロース支援/人材/ITスクール)の共同編集部が制作しています。両社ともに合同会社として設立・運営しており、一人・少人数での法人設立と設立後の実務を、自らの経験も踏まえて扱っています。

記事は、法務省・法務局・国税庁・日本年金機構・中小企業庁・日本公証人連合会などの一次情報を確認したうえで作成し、合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら編集しています。参照元は各セクションの末尾に明示しています。ただし制度・手数料は改正されるため、手続きの際は必ず所管官庁の最新情報をご確認ください。個別具体的な判断については、税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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