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一人で会社を作るなら、いくら用意するのか。設立費用+開業費+運転資金6ヶ月

最終更新 2026年8月15日 読了目安 約12分 文字数 約7,184字
一人で会社を作るなら、いくら用意するのか。設立費用+開業費+運転資金6ヶ月
「一人で会社を作るのに、いくら用意すればいいですか」への答えは、3つの数字を足して出します。設立費用、開業費、そして売上が立つまでの運転資金。多くの人が調べているのは1つめだけですが、金額として支配的なのは3つめです。実際に積み上げると200万円前後になり、設立費用が占める割合はわずか4%にすぎません。

「一人で会社を作るのに、いくら用意すればいいですか」という質問には、3つの数字を足して答える必要があります。設立費用、開業費、そして売上が立つまでの運転資金です。

このうち、多くの人が計算しているのは1つめだけです。設立費用は調べれば出てくるので分かりやすい。一方で3つめの運転資金は、自分の事業と生活に依存するため、誰も代わりに計算してくれません。そして、金額として最も大きいのはこの3つめです。

3つの層に分けて積み上げる

3つの層に分けて積み上げる

第1層|設立費用

7万〜25万円

会社を登記するための手数料です。会社形態と、軽減措置を使えるかどうかで決まります。

合同会社・電子定款・創業支援の証明あり約49,000円 合同会社・電子定款のみ約79,000円 株式会社・電子定款・認証特例・創業支援の証明あり約99,500円 株式会社・電子定款と認証特例のみ約174,500円 株式会社・何も工夫しない場合約258,500円

第2層|開業費

10万〜100万円

事業を始めるために必要な、一度きりの支出です。業種によって桁が変わります。一人で、自宅を拠点にする知識サービス系ならもっとも小さく収まります。

PC・モニター・周辺機器100,000〜300,000円 ソフトウェア・サブスク初期費20,000〜80,000円 名刺・封筒・印刷物10,000〜30,000円 ウェブサイト・ドメイン・サーバー0〜300,000円 業種固有の機材・仕入・保証金0〜数百万円

第3層|運転資金(6ヶ月分)

120万〜300万円

売上がゼロでも出ていくお金を、6ヶ月分。ここに自分の生活費を含めることが最大のポイントです。会社の固定費だけ計算して、自分が食べていく分を数えていない計画をよく見ます。

社会保険料(役員報酬20万円の場合・会社+個人)月 約58,000円 法人住民税 均等割(月割)月 約5,800円 会計ソフト・通信・サーバー月 5,000〜15,000円 税理士顧問料(依頼する場合)月 20,000〜40,000円 自分の生活費(=役員報酬の手取り)月 150,000〜250,000円
一人で始めるときの資金を3つに割った表

実際に足してみる

実際に足してみる
前提:一人・合同会社・自宅を本店・受託系・役員報酬20万円
設立費用 79,000円
+ 開業費 250,000円
+ 運転資金(月28万円 × 6ヶ月) 1,680,000円
合計 2,009,000円
設立費用が占める割合は、わずか4%です。

この計算で重要なのは、設立費用が全体の4%しかないという点です。ここを数万円削る努力は意味がないわけではありませんが、資金計画の本体はそこではありません。

毎月出ていくものを、正確に把握する

毎月出ていくものを、正確に把握する
一人会社の毎月の固定費

一人会社でもっとも重い固定費は社会保険料です。個人事業主のときは国民健康保険と国民年金でしたが、法人になると健康保険と厚生年金に切り替わり、会社負担分と個人負担分の両方を自分の会社が払うことになります。

役員報酬を月20万円にした場合、労使合計の保険料はおおむね月58,000円前後。年間で約70万円です。これが、法人化して増える固定費の中心になります。将来の年金額が増えるという見返りはありますが、キャッシュフロー上は明確な負担です。

次に効いてくるのが法人住民税の均等割。赤字でも払う税金で、資本金1,000万円以下・従業員50人以下なら年7万円程度が一般的です(自治体により異なります)。月割にすると約5,800円。

この2つだけで、売上ゼロでも年間77万円が出ていきます。個人事業主にはなかった支出なので、法人化の判断材料としてここは外せません。

役員報酬をいくらにするか、が資金計画を決める

役員報酬をいくらにするか、が資金計画を決める

一人会社では、自分の生活費は役員報酬から出ます。そして役員報酬には、原則として期中に変更できないという制約があります。事業年度開始から3ヶ月以内に決めた額を、その期は払い続けることになります。

ここが資金計画の要になります。報酬を高く設定すれば生活は安定しますが、社会保険料も所得税も上がり、会社に残るお金が減ります。低く設定すれば会社にお金は残りますが、自分の生活が回りません。しかも途中で変えられない。

実務上の考え方:設立初年度は、売上の見込みが立たないぶん、報酬を低めに設定して会社にお金を残す設計がよく取られます。生活費の不足分は、法人化前に貯めた個人の資金でしのぐという形です。

逆に、報酬をゼロにすると社会保険の加入義務が生じないため、在職中に会社を作る場合や、当面は個人の貯蓄で生活できる場合には、この選択も現実的です。ただし報酬ゼロだと会社の経費に人件費が計上されず、また社会保険の空白期間が生じる点は理解しておいてください。

株式会社と合同会社で、必要額はどれだけ変わるか

株式会社と合同会社で、必要額はどれだけ変わるか
一人で作る場合の株式会社と合同会社の設立費用の差

差は約10万円です。これを200万円の資金計画のなかで見ると、5%程度。会社形態の選択を、必要資金の観点だけで決める理由は薄いということになります。

むしろ判断すべきは、その10万円を何に使うかです。10万円あれば、初年度の会計ソフト代が3年分まかなえます。ウェブサイトの初期制作費に充てることもできます。設立費用として消えるか、事業に投資されるか——この観点で考えると、合同会社を選ぶ判断がしやすくなります。

個人事業主のままだと、いくらで済むのか

個人事業主のままだと、いくらで済むのか

比較対象として、同じ事業を個人事業主で始めた場合の金額も出しておきます。判断材料として、この差は知っておく価値があります。

開業費用は0円です。税務署に開業届を出すだけで、手数料はかかりません。印鑑も屋号印を作る人はいますが、必須ではありません。設立費用7〜25万円が、まるごと消えます。

毎年の固定費も大きく変わります。法人住民税の均等割(年7万円)はありません。社会保険は国民健康保険と国民年金で、所得が低ければ保険料も低く抑えられます。会計も、青色申告ソフトを使えば自分で完結できる規模に収まります。税理士に頼まなければ、年間の維持費は数万円で済みます。

つまり、法人化することで増える固定費は年間70〜80万円前後。これは事業がうまくいくかどうかに関係なく発生します。この金額を上回るメリット——所得の分散による節税、消費税の免税期間、法人でなければ取れない取引、社会的信用——があるかどうかが判断の分かれ目です。

よく言われる目安:課税所得がおおむね800万円を超えるあたりから、法人のほうが手取りが残りやすくなります。ただしこれは税率だけを見た計算で、社会保険料の増加を織り込むと分岐点はもう少し上がります。

一方で、金額だけで決まらない理由もあります。法人でないと契約できない取引先がある、消費税の免税期間を新たに得たい、有限責任にしておきたい。こうした事情があるなら、所得が800万円に届かなくても法人化する合理性はあります。

足りない場合、どうするか

足りない場合、どうするか

200万円を全額自己資金で用意できる人ばかりではありません。不足分をどう埋めるかの選択肢は、実質的に3つです。

日本政策金融公庫の創業融資。もっとも一般的な手段です。設立直後、実績がない状態でも申し込めます。審査で見られるのは創業計画書の内容と自己資金の準備状況。必要額の3分の1程度を自己資金で用意できていると説明がしやすくなります。

自治体の制度融資。都道府県や市区町村が信用保証協会と連携して行う融資です。金利の一部を自治体が補助する仕組みがあり、条件によっては公庫より有利になります。ただし手続きに関わる先が多く、実行までの期間は長めです。

設立時期をずらして自己資金を貯める。地味ですが、もっとも確実な方法です。特に、在職中に副業として事業を始めて実績を作り、売上の見込みが立ってから法人化するという順序は、資金面でも審査面でも有利に働きます。

いちばん忘れられるのは自分の生活費という注意

重なりますが、同じではありません。資本金は会社の口座に入るお金で、運転資金として使えます。一方、設立費用は会社設立前に個人が立て替えるため、資本金とは別に手元に必要です。実務では「設立費用は個人の財布から、運転資金は資本金として会社へ」という形になります。

報酬がゼロであれば、社会保険の被保険者になりません。ただし国民健康保険と国民年金には自分で加入する必要があり、負担がゼロになるわけではありません。また、報酬ゼロの状態が続くと、生活費をどこから出しているのかを税務上説明できる必要があります。

すでに継続的な受注が確定している場合は、3ヶ月分でも回ります。逆にこれから顧客を開拓する状態なら、6ヶ月でも足りないことがあります。判断の基準は「今日から売上がゼロになったとして、何ヶ月耐えられるか」です。請求から入金までのサイトが長い業態では、さらに余裕が必要になります。

お金が動く順番を、時系列で押さえる

お金が動く順番を、時系列で押さえる

最後に、資金がいつ動くのかを時系列で整理しておきます。金額だけ用意していても、タイミングが合わないと止まります。

設立前。印鑑代、個人の印鑑証明書代、電子定款の代行費。ここは個人の財布から出ます。数万円規模ですが、会社の口座がまだないので、必ず立て替えになります。

定款認証の日。株式会社なら認証手数料と謄本代。合同会社ならこの支出はありません。

払込の日。資本金を発起人個人の口座に入金します。これは支出ではなく、自分の口座の中で動くだけです。ただし「入金の記録」が必要なので、いったん出して入れ直す手間が生じることがあります。

登記申請の日。登録免許税。金額としては最大の支出です。収入印紙を購入して申請書に貼るか、電子納付します。ここも会社の口座はまだ使えないので、個人が立て替えます。

登記完了後。登記事項証明書と印鑑証明書の取得費用。そして法人口座の開設申込み。口座が開くまでの2〜4週間は、会社名義で受け取ることも払うこともできません。この期間の支払いも個人が立て替えることになるため、手元に現金を残しておく必要があります。

整理すると、設立から法人口座が使えるようになるまでの1ヶ月半、すべての支出は個人の立て替えです。資本金として100万円用意していても、それは会社の口座に入るお金であって、この期間は使えません。設立費用と当面の立て替え分を、資本金とは別に手元に残しておいてください。

まとめ

まとめ
  • 必要額=設立費用+開業費+運転資金6ヶ月分。合計200万円前後が一つの目安
  • 設立費用は全体の4%程度。ここだけ調べても資金計画にならない
  • 売上ゼロでも社会保険料と均等割で年77万円が出ていく
  • 役員報酬は期中に変更できない。生活費から逆算して決める
  • 株式会社と合同会社の差は約10万円。全体の5%にすぎない
  • 不足分は創業融資・制度融資・時期をずらすの3択
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください 検索キーワード:会社 立ち上げ 初期費用 一人 / 20 サイト

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  7. 会社設立GOAL|一人で会社を作る手順を解説!費用や必要書類は?資本金1円から設立できる制度の背景と、実際にいくら入れるべきかを扱っています。
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  11. ベンチャーサポート|会社設立の費用は11万〜24万円!設立前後のコストを徹底解説設立前後でコストを分けた整理。3層の考え方と相性がよい記事です。
  12. 創業融資ガイド|株式会社を設立する際にかかる費用とその内訳融資を前提にした費用の見方。不足分を埋める検討に役立ちます。
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著者:合同会社commit / 合同会社FIELD 共同編集部

本記事は、合同会社commit(コンサルティング/Webマーケティング/Web制作)と 合同会社FIELD(事業グロース支援/人材/ITスクール)の共同編集部が制作しています。両社ともに合同会社として設立・運営しており、一人・少人数での法人設立と設立後の実務を、自らの経験も踏まえて扱っています。

記事は、法務省・法務局・国税庁・日本年金機構・中小企業庁・日本公証人連合会などの一次情報を確認したうえで作成し、合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら編集しています。参照元は各セクションの末尾に明示しています。ただし制度・手数料は改正されるため、手続きの際は必ず所管官庁の最新情報をご確認ください。個別具体的な判断については、税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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