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設立費用を安くする方法を、効果額の大きい順に5つ。合計15万円の引き算

最終更新 2026年8月15日 読了目安 約11分 文字数 約6,738字
設立費用を安くする方法を、効果額の大きい順に5つ。合計15万円の引き算
設立費用を安くする方法はいくつもありますが、効果額の大きさと使いやすさは一致しません。効果が最大の方法がいちばん時間を要求してくる、ということが起こります。この記事では5つの方法を効果額順に並べ、それぞれに誰が使えるか・いつまでに動く必要があるかを付けました。あわせて、削っても得しない3つの「安くする方法」も挙げています。

設立費用を安くする方法は、ネット上にいくつも書かれています。ただし効果額の大きさと、使うための条件はまったく別です。効果が最大の方法がいちばん使いにくい、ということも起こります。

この記事では、5つの方法を効果額の大きい順に並べ、それぞれに「誰が使えるか」「いつまでに動く必要があるか」を付けました。株式会社を一人で作る場合を基準にしています。

設立費用を安くする方法と効果額

効果額の大きい順に5つ

効果額の大きい順に5つ
1位
−90,000

合同会社を選ぶ

登録免許税が15万円から6万円に。さらに定款認証手数料(15,000〜50,000円)もまるごと不要になるので、実質的な差はもっと大きくなります。

使うための条件はありません。ただし会社形態そのものを変える判断なので、費用だけで決めるべきではありません。外部からの出資、上場、取引先の与信要件——このどれかに引っかかるなら、株式会社を選ぶ理由が費用差を上回ります。

条件なしいつでも判断可能出資予定があるなら不可
2位
−75,000

特定創業支援等事業の証明を取る

本店を置く市区町村が国の認定を受けていれば、その自治体の創業支援を修了することで証明書が交付されます。これを登記申請書に添付すると、登録免許税が半額に。株式会社なら15万円が75,000円、合同会社なら6万円が3万円です。

支援の内容は自治体によりますが、経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野について、1ヶ月以上かつ4回以上の受講が一般的な要件です。証明書の交付にもさらに数日〜2週間かかります。

創業予定または創業5年未満1〜2ヶ月の時間が必要2社目の設立は対象外
3位
−50,000
〜100,000円

手続きを自分でやる

司法書士に一括で依頼した場合の報酬が浮きます。会社設立の手続きに、資格が必要な作業はひとつもありません。

代わりに必要なのは実働14〜28時間と、平日に2〜3回動ける時間です。調べ物が苦にならない人、時間に余裕がある人なら、この方法の費用対効果は高くなります。逆に本業を止めたくない人には向きません。

条件なし平日に動ける必要あり許認可業種は要注意
4位
−40,000

電子定款にする

紙の定款に貼る収入印紙4万円が不要になります。株式会社でも合同会社でも同じ効果です。

マイナンバーカードとICカードリーダー(または対応スマートフォン)、電子署名用ソフトが必要。環境構築に2〜6時間かかりますが、行政書士に作成だけ依頼すれば5,000〜10,000円で済みます。どちらを選んでも紙定款より安く上がります。

条件なしマイナンバーカードがあると楽代行なら5,000〜10,000円
5位
−35,000

定款認証手数料の特例を使う(株式会社のみ)

2024年12月の改定で、条件を満たす株式会社の定款認証手数料が15,000円になりました。資本金300万円以上なら本来50,000円なので、差額は35,000円です。

条件は、資本金100万円未満発起人が全員個人で3人以下発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける取締役会を置かないの4つ。一人で作るなら、資本金の設定だけ気をつければ自然に満たせます。

資本金100万円未満株式会社のみ合同会社には無関係

組み合わせると、いくらになるか

組み合わせると、いくらになるか
費用を最小にする5つの判断の流れ
株式会社・全部適用
99,500円
何もしない場合の258,500円から
159,000円の減額
合同会社・全部適用
49,000円
紙定款で何もしない場合の
約119,000円から70,000円の減額

ただし、ここまで下げるには設立まで2ヶ月以上の余裕が必要です。特定創業支援等事業の証明取得に時間がかかるためです。急いでいる場合は2位が使えないので、株式会社で174,500円、合同会社で79,000円というのが現実的な着地になります。

申し込む前に確認する5項目

特定創業支援等事業を、もう少し具体的に

特定創業支援等事業を、もう少し具体的に

効果額2位のこの制度は、名前が固いわりに中身は素朴です。市区町村または市区町村が委託した機関(商工会議所など)が行う創業者向けの支援を、一定回数以上受けるというものです。

要件としてよく設定されているのは、経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野をカバーする支援を、1ヶ月以上の期間にわたって4回以上受けること。形態は自治体によって違い、連続講座のセミナー形式、個別相談を複数回、あるいは両方の組み合わせというパターンがあります。費用は無料か、数千円程度の実費というケースが多いです。

修了すると、自治体に対して「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」の交付を申請できます。この証明書の原本を登記申請書に添付すると、登録免許税が半額になります。

登録免許税の軽減以外にも、この証明書には使い道があります。日本政策金融公庫の新規開業資金で、貸付利率の引き下げ対象になる場合や、創業関連保証の特例として、事業開始の6ヶ月前から信用保証を利用できるようになるといった効果です。設立費用の話を超えて、資金調達の条件そのものが変わる可能性があります。

確認しておくべきこと
自治体によって支援の実施頻度が違います。年に数回しか講座を開催していない地域では、次の開催まで数ヶ月待つことになります。設立時期が決まっているなら、まず開催スケジュールを確認してから逆算してください。また、支援を受ける市区町村と、会社の本店を置く市区町村は一致している必要があります。引っ越しや本店移転を検討している場合は、この点も先に整理しておく必要があります。

やってはいけない「安くする方法」

やってはいけない「安くする方法」
安さだけで決めると後で高くつく判断があるという注意
資本金を1円にする
設立費用は下がりません(登録免許税は最低額が適用されるため)。下がるのは定款認証手数料だけで、しかも99万円でも同じ15,000円です。得るものがほとんどないのに、法人口座の審査と創業融資で明確に不利になります。1円設立は制度として可能というだけで、実務上の利点はほぼありません。
事業目的を1つに絞る
定款が短くなり、謄本の交付手数料が数百円下がります。その代わり、事業を追加するたびに変更登記で30,000円かかります。数百円のために3万円のリスクを取る計算になるので、合理性はありません。今やる事業と、2〜3年以内にやる可能性のある事業は最初から入れておいてください。
印鑑を作らない・個人の印鑑で代用する
会社実印は登記申請に必須です。個人の実印を会社の実印として登録することは制度上できなくはありませんが、個人と会社の印影が同じになるため、契約の場面でリスクが生じます。既製品なら5,000円台から作れるので、削る対象にはなりません。

費用より効果が大きい「削らない判断」

費用より効果が大きい「削らない判断」

設立費用を数万円削る話をしてきましたが、実はもっと金額の大きい分岐が2つあります。どちらも設立時にしか決められません。

ひとつめは、資本金を1,000万円未満にすること。1,000万円以上で設立すると、初年度から消費税の課税事業者になります。売上が1,000万円あるなら、納税額は数十万円規模。設立費用を15万円削る努力より、こちらのほうが効果が大きい場面は珍しくありません。

ふたつめは、決算月を適切に選ぶこと。設立日から最も遠い月末を決算月にすれば、初年度をほぼ12ヶ月使えます。逆に設立の2ヶ月後を決算月にしてしまうと、すぐに決算がやってきて、税理士報酬(10〜20万円)が1回分早く出ていきます。この選択に費用はかからないのに、金額の影響は大きいという、もっとも効率のいい判断です。

中小企業庁が認定市区町村の一覧を公開しています。また、本店を置く予定の市区町村のサイトで「特定創業支援等事業」と検索すれば、実施している支援の内容と証明書の申請方法が出てきます。商工会議所が窓口になっているケースも多いです。

0円なのは代行手数料だけで、登録免許税などの実費は必ずかかります。多くは税理士の顧問契約や会計ソフトの年間契約が条件です。どのみち税理士を頼むなら得ですが、当面は自分で経理を回すつもりなら、年間の顧問料と契約期間の縛りを確認してから判断してください。

設立登記の費用そのものを対象にする補助金は多くありません。補助金は基本的に「事業のための投資」に対して出るもので、しかも後払いです。設立時点で手元にお金がない状態を補助金で解決する、という考え方は成り立ちにくいと考えてください。自治体独自の創業支援補助金がある地域もあるので、市区町村のサイトは一度見ておく価値があります。

急ぐ人向けの、現実的な組み合わせ

急ぐ人向けの、現実的な組み合わせ

ここまでの5つのうち、時間を要求してくるのは2位(特定創業支援等事業)だけです。それ以外は今日決めれば今日から適用できます。設立を急いでいる場合の、現実的な組み合わせを示しておきます。

設立までの猶予使える方法着地する金額(株式会社)
2ヶ月以上5つ全部99,500円
3週間程度電子定款+認証特例+自力174,500円
2週間以内認証特例+自力(電子定款は代行)182,500円
1週間以内紙定款+認証特例+自力214,500円

急ぐほど高くつく、という単純な関係になっています。差額は最大で11万5千円。1ヶ月半待てるかどうかで、10万円以上変わるということです。取引開始日が動かせないなら仕方ありませんが、そうでないなら、待つ価値のある金額だと思います。

なお、合同会社を選べばこの表の金額から一律で9万円以上下がります。2ヶ月以上の猶予があって合同会社を選ぶなら、着地は49,000円。もっとも急ぐケースでも約119,000円です。

まとめ

まとめ
  • 効果額1位は合同会社を選ぶこと(−90,000円)。ただし形態の判断が伴う
  • 2位は特定創業支援等事業の証明(−75,000円)。1〜2ヶ月の時間が必要
  • 自分でやる(−5〜10万円)、電子定款(−4万円)、認証特例(−3.5万円)と続く
  • 全部使えば株式会社99,500円、合同会社49,000円まで下がる
  • 資本金1円・事業目的1つ・印鑑を作らないは、削っても得しない
  • 資本金1,000万円未満と決算月の選び方のほうが、金額の影響は大きい
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください 検索キーワード:会社 立ち上げ 初期費用 安く / 20 サイト

「会社 立ち上げ 初期費用 安く」で検索すると、電子定款と合同会社の話が中心に出てきます。一方で効果額が最大の特定創業支援等事業については、自治体サイトや司法書士のブログにしか書かれていないことが多く、見落とされがちです。制度の一次情報にあたれるサイトも含めて並べました。

  1. 中小企業庁|会社設立時の登録免許税の軽減について登録免許税半額制度の一次情報。認定市区町村の確認もここが起点です。
  2. 大阪市|特定創業支援等事業について自治体側の公式案内。支援内容と証明書申請の実際の流れが分かります。
  3. 弥生|会社設立にかかる登録免許税とは?計算方法や半額にする方法を解説半額にする方法を計算例つきで説明しています。
  4. ベンチャーサポート|会社設立時の登録免許税とは?半額制度や納付方法【早見表あり】半額制度と早見表。効果額を自分の資本金で確認できます。
  5. 司法書士法人C-first|会社設立の登録免許税が半額になる?登記申請での証明書の添付方法に触れた実務解説です。
  6. 司法書士福原誠事務所|会社設立時の登録免許税を半額にする方法要件と手順を実務者の視点で整理しています。
  7. あなたのまちの司法書士事務所グループ|設立登記の登録免許税軽減(創業支援事業)軽減の対象範囲と申請手続きをまとめています。
  8. 司法書士おおざわ事務所|会社設立の費用・税金を半額にする方法を専門家が解説証明書取得までのスケジュール感に触れており、日程を組む参考になります。
  9. エントレ|【お得な制度活用】会社設立時の登録免許税を半額するには?制度の使い方を手順順に説明した記事です。
  10. 司法書士法人永田町事務所|定款認証の手数料が半額になりました。令和6年12月改定のポイント認証手数料15,000円の4条件を具体的に整理しています。
  11. RSM汐留パートナーズ司法書士法人|株式会社の定款認証に係る公証人手数料の一部改定改定の背景と対象範囲を解説しています。
  12. ミネルバ税理士法人|定款認証手数料引き下げで、さらに安く株式会社を設立費用全体のなかでの影響度を税理士の視点で扱っています。
  13. d-teikan|定款認証手数料の計算方法!資本金別の境界線と節約のウラ技資本金の設定で手数料が変わる境界線を具体的に示しています。
  14. freee|会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説形態を変えることによる費用差を確認できます。
  15. 弥生|会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の法人設立費用を比較解説形態別の費用比較。効果額1位の判断材料になります。
  16. 弥生|会社設立手続きは自分でできる?かかる費用や必要な手続きを解説自分でやることで浮く金額と、その代わりの手間を扱っています。
  17. freee|会社設立を自分で行うには?費用・必要な手続き・設立時のポイント自力設立の全体像。報酬分を削る判断の参考になります。
  18. IDEMAE|合同会社の設立費用はいくらかかる?内訳・安く抑える方法を解説合同会社側で安く抑える方法をまとめています。
  19. マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社の設立費用はいくら?内訳・節約方法節約方法を項目ごとに整理した記事です。
  20. 日本公証人連合会|定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか手数料の一次情報。節約策を検討する前に金額を確定させる場所です。

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著者:合同会社commit / 合同会社FIELD 共同編集部

本記事は、合同会社commit(コンサルティング/Webマーケティング/Web制作)と 合同会社FIELD(事業グロース支援/人材/ITスクール)の共同編集部が制作しています。両社ともに合同会社として設立・運営しており、一人・少人数での法人設立と設立後の実務を、自らの経験も踏まえて扱っています。

記事は、法務省・法務局・国税庁・日本年金機構・中小企業庁・日本公証人連合会などの一次情報を確認したうえで作成し、合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら編集しています。参照元は各セクションの末尾に明示しています。ただし制度・手数料は改正されるため、手続きの際は必ず所管官庁の最新情報をご確認ください。個別具体的な判断については、税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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