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会社 立ち上げ 手順

一人で会社を立ち上げる手順を9工程に分けて。決めることから登記後の届出まで全部

最終更新 2026年8月15日 読了目安 約14分 文字数 約8,231字
一人で会社を立ち上げる手順を9工程に分けて。決めることから登記後の届出まで全部
定款、登記、印鑑、資本金、届出。単語は知っているのに、順番と締切がつながらない——一人で会社を作ろうとする人が最初に止まるのはここです。この記事では手を動かす単位で9工程に切り分け、それぞれの所要日数と、落とすと数十万円変わる期限だけを並べました。2026年8月時点の制度、特に2024年12月に改定された定款認証手数料に対応しています。

会社を一人で立ち上げると決めたとき、いちばん困るのは「難しいこと」ではありません。やることが多すぎて、どれを先にやればいいのか分からないという点です。定款、登記、印鑑、資本金、届出——単語は聞いたことがあっても、順番と締切がつながっていない。この記事では、その順番だけを、実際に手を動かす単位で並べました。

登場する数字は2026年8月時点の制度に基づいています。特に定款認証の手数料は2024年12月に改定が入っており、一人で作る小さな会社ほど安くなる方向に変わりました。古い記事の「4万円」「5万円」という記載をそのまま信じると、余計に払うことになります。

9工程
決定から届出までの
作業のかたまり
約17万円
一人・電子定款で
株式会社を作る実費
3週間
準備込みで見ておく
現実的な期間
5
社会保険の届出期限
(設立後で最短)

まず全体像:一人で会社を作る工程は9つに分かれる

まず全体像:一人で会社を作る工程は9つに分かれる

会社設立の解説は「10ステップ」「7ステップ」と数え方がバラバラですが、実際に手を動かす単位で切ると9つになります。この9つのうち、つまずくのはほぼ1番目と3番目です。残りは書式どおりに埋めれば終わります。

一人で会社を立ち上げる9つの工程
設立完了までの流れ。上から順に進めれば戻る必要はありません
先に結論
この9工程のうち、専門家に頼まないと無理な作業はひとつもありません。ただし「決める作業」に時間がかかる人は多く、そこだけで1〜2週間溶けます。手続きが遅いのではなく、決断が遅いのです。

工程1〜3|書類を書き始める前に終わらせること

工程1〜3|書類を書き始める前に終わらせること

会社の基本事項を9項目まとめて決める

定款は、決まったことを書き写す作業です。決まっていないものは書けません。ここで決める項目は次の9つです。

会社の基本事項9項目のチェックリスト
商号でつまずく人へ
使える文字は漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・アラビア数字と、一部の記号(& ' , - . ・)だけです。記号は先頭と末尾に置けません。同じ住所に同じ商号の会社があると登記できないので、法務局の「商号調査」で先に確認しておきます。
事業目的でつまずく人へ
「今やる事業」と「2〜3年以内にやるかもしれない事業」を書き、最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」を入れます。あとから足すには変更登記で3万円かかるので、この段階で広めに取っておくのが定石です。ただし関連性のない事業を10も20も並べると、法人口座の審査で実体を疑われます。
決算月について。設立日から最も遠い月末を決算月にすると、初年度をほぼ12ヶ月使えます。9月に設立するなら8月決算です。逆に「3月決算がふつうだから」と3月にすると、初年度が半年で終わって決算費用が1回分早く出ていきます。

会社の印鑑を発注する

登記申請の時点で会社実印が必要です。ネットの印章店なら中2〜5日で届きますが、混み合う時期は1週間かかることもあります。ここを最後に回すと、設立希望日がずれます。

種類使う場面作るべきか
代表者印(実印)登記申請、重要な契約書必須
銀行印法人口座の届出印実印と兼ねられるが分けたほうが安全
角印(社印)請求書・見積書取引が始まると結局要る
実印には辺の長さが1cm超3cm以内という規定があります。既製品を買うときはサイズを確認してください。3本セットで5,000円台から、チタンなど素材にこだわると3万円を超えます。

定款を作成する

定款は会社のルールブックです。書き方を一から考える必要はなく、法務局や公証役場が公開しているひな形に、工程1で決めた内容を入れていけば形になります。

問題は紙で作るか、電子で作るかです。紙の定款には収入印紙4万円を貼る義務がありますが、PDFに電子署名した電子定款なら印紙は不要です。

紙の定款
+40,000円
印刷して製本して収入印紙を貼るだけ。準備がいらない代わりに4万円が飛びます。
電子定款
0円
ただしマイナンバーカード、ICカードリーダー、電子署名用ソフトが要ります。1回きりの設立なら代行に出したほうが早い場合も。

工程4〜7|設立日が決まる、いちばん動きの速い区間

工程4〜7|設立日が決まる、いちばん動きの速い区間

公証役場で定款認証を受ける(株式会社のみ)

株式会社は、作った定款を公証人に認証してもらう必要があります。合同会社は不要この工程がまるごと無いぶん、合同会社は安く早く作れます。

2024年12月の改定で、次の4条件をすべて満たすと手数料が15,000円になりました。一人で小さく作る人はほぼ当てはまります。

  1. 資本金の額が100万円未満であること
  2. 発起人が全員個人で、3人以下であること
  3. 発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨が定款にあること
  4. 定款に取締役会を置く旨の記載がないこと
条件から外れる場合の手数料は、資本金100万円未満で3万円/100万円以上300万円未満で4万円/300万円以上で5万円です。ここに定款の謄本交付手数料が1枚あたり数百円かかります。

資本金を払い込む

会社はまだ存在しないので、法人口座はありません。発起人(あなた)個人の口座に、自分で資本金を振り込みます。通帳の表紙、1ページ目、入金の記帳ページをコピーして「払込証明書」に綴じます。

×
よくある失敗:もともと口座に300万円入っていたので、そのまま「資本金300万円あります」として提出した。→ 入金の記録が要るので通りません。いったん出して、入れ直す必要があります。
正しい進め方:定款の作成日より後の日付で、資本金と同額(または端数を足した額)を振込・入金する。振込人名義が発起人名で残る形にしておくと、なお確実です。

登記申請書類を一式そろえる

一人で発起設立する株式会社の場合、必要なのは概ね次の書類です。合同会社なら定款認証関連が消え、就任承諾書のかわりに代表社員の就任承諾書になります。

  • 登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙(収入印紙を貼る)
  • 認証済みの定款
  • 払込証明書+通帳コピー
  • 設立時取締役の就任承諾書
  • 取締役の印鑑証明書(発行3ヶ月以内)
  • 印鑑届書

法務局へ申請する — この日が設立日になる

登記を申請した日が、会社の設立日として登記簿に載ります。登記が完了した日ではありません。誕生日にしたい、キリのいい日にしたい、という希望があるなら、その日に窓口またはオンラインで申請します。

法務局は平日しか開いていないため、土日祝を設立日にはできません。1月1日を設立日にしたい、という相談がよくありますが、これは不可能です。
設立日から逆算した3週間のスケジュール
設立日が決まっているなら、この形で逆算します

工程8〜9|登記が終わってからが本番

工程8〜9|登記が終わってからが本番

登記の完了までは中7〜10日ほど。この間、会社は登記簿上は存在していますが、証明書が出ないので口座も作れません。完了したら法務局で印鑑カードを受け取り、登記事項証明書印鑑証明書を取得します。届出や口座開設で何度も使うので、証明書は3通ほど取っておくと往復せずに済みます。

設立後に提出する届出と期限の一覧
期限が最も短いのは社会保険です

健康保険・厚生年金保険の新規適用届は、事実発生から5日以内。社長ひとりの会社でも、役員報酬を出す以上は加入義務があります。「従業員がいないから関係ない」と考えて放置すると、後から遡って請求されます。

青色申告の承認申請だけは、絶対に落とさない

設立初年度は赤字になることが多く、その赤字を翌期以降の黒字と相殺できるのが青色申告です。申請期限は「設立から3ヶ月を経過した日」と「初年度の事業年度終了日」のうち早いほうの前日まで。1日でも過ぎると初年度は白色申告になり、初年度の赤字を持ち越せません。

金額でいうと:初年度に300万円の赤字が出て、2期目に300万円の黒字が出たとします。青色なら相殺されて法人税はほぼゼロ。白色だと2期目の300万円にまるまる課税されます。書類1枚の提出忘れで、数十万円が変わります。

結局いくらかかるのか

結局いくらかかるのか
一人で株式会社を作るときの費用内訳

電子定款+認証手数料の特例が使える条件なら、株式会社でも17万円台に収まります。合同会社は定款認証そのものが不要で登録免許税も6万円からなので、7万円前後です。ここに印鑑代と証明書代が乗ります。

資本金1000万円以上にすると消費税がかかるという注意

一人会社にするか、個人事業のままか

一人会社にするか、個人事業のままか

手順を全部読んだうえで「やっぱり個人事業でいいのでは」と思うのは、まっとうな反応です。判断材料になる差だけ並べます。

一人会社と個人事業主の比較表

数字だけで見るなら、利益が800万円前後を超えたあたりから法人のほうが手取りが残りやすくなります。ただし一人会社は、赤字でも法人住民税の均等割が年7万円、社会保険料が最低でも年20万円台から発生します。固定費が年30万円ほど増えるという前提で考えてください。

株式会社ではなく合同会社にすると、どこが省けるのか

株式会社ではなく合同会社にすると、どこが省けるのか

一人で作るなら合同会社を検討する価値があります。省けるのは工程4(定款認証)まるごとと、登録免許税の差額9万円です。手続きの工程数でいえば9つが7つになります。

省けるもの 01
公証役場に行く工程
予約、事前のFAXやメールでの原稿チェック、当日の往復がまるごと消えます。ここだけで4〜6日短縮できます。
省けるもの 02
登録免許税の9万円
株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円。資本金が2,000万円を超えるまではこの最低額が適用されます。
省けるもの 03
役員の任期管理
株式会社は最長10年で改選登記(1万円)が必要ですが、合同会社に任期はありません。放置して過料を食らう事故も起きません。

逆に、合同会社を選ぶと詰まる場面もあります。取引先の与信基準に「株式会社であること」が入っている業界、上場や第三者からの出資を将来視野に入れている場合、それから「合同会社って何ですか」と毎回説明する手間です。後から株式会社へ組織変更もできますが、そのときは10万円前後の登記費用がまたかかります。

Q
designや受託開発を一人でやる予定で、当面は法人相手の請求書が出せればいい。それでも株式会社にすべきですか?
A
その条件なら合同会社で足ります。多くの発注元は「法人であること」を見ており、会社形態までは見ていません。数年後に資金調達の話が出てきたタイミングで組織変更を検討すれば十分です。

自分でやるか、代行に出すか

自分でやるか、代行に出すか

設立代行の相場は、株式会社で報酬3〜10万円、合同会社で2〜7万円あたりです。ここに実費(登録免許税など)が別途乗ります。一方で「手数料0円」を掲げるサービスもあり、これは税理士の顧問契約や会計ソフトの年間契約とセットになっている形式がほとんどです。

選択肢追加費用かかる日数向いている人
全部自分でやる0円2〜3週間平日に動ける/調べ物が苦にならない
電子定款だけ外注5,000〜10,000円2〜3週間ICカードリーダーを買いたくない
司法書士に一括5〜10万円2〜4週間本業を止めたくない/許認可が絡む
0円代行サービス実質は顧問料1〜3週間どのみち税理士を頼む予定がある
判断の目安をひとつ。許認可が必要な業種(建設、人材、古物、飲食、運送など)なら、最初から専門家に相談したほうが安く済みます。事業目的の文言が許認可の要件を満たしていないと、設立後に変更登記をやり直すことになるからです。

できません。登記を申請した日が設立日になります。逆に未来の日付を指定することもできないため、希望日がある場合はその日に申請するしかありません。

法律上は可能です。ただし就業規則で兼業や競業が制限されている場合があり、また役員報酬を出すと住民税の通知経路から勤務先に伝わることがあります。報酬をゼロにしておけば社会保険の二重加入も発生しません。

書類作成そのものは、慣れていなくても実働で10〜15時間程度です。時間を食うのは調べ物と、公証役場・法務局とのやりとりです。平日の日中に2〜3回動ける人なら、3週間で完了します。
一人で進めるときに詰まりやすい3か所

まとめ:迷ったら工程1に戻る

まとめ:迷ったら工程1に戻る
この記事の要点
  • 手続きは9工程。難所は「決める」工程1と「定款を書く」工程3だけ
  • 設立日=登記を申請した日。土日祝は指定できない
  • 一人・資本金100万円未満なら、定款認証は15,000円で済む
  • 電子定款にすれば収入印紙4万円が不要になる
  • 社会保険は設立から5日以内、青色申告の申請は3ヶ月以内が期限
  • 法人化で増える固定費は年30万円前後を見ておく

手が止まったときは、書類ではなく工程1の9項目に戻ってください。書けないのは、たいてい決まっていないからです。

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  19. J-Net21(中小機構)|株式会社の設立手続き公的支援機関による起業マニュアル。制度の説明が中立的にまとまっています。
  20. 創業手帳|会社設立の流れがわかる!やることリスト完全版起業支援メディアによるチェックリスト型の記事。抜け漏れ確認に向いています。

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著者:合同会社commit / 合同会社FIELD 共同編集部

本記事は、合同会社commit(コンサルティング/Webマーケティング/Web制作)と 合同会社FIELD(事業グロース支援/人材/ITスクール)の共同編集部が制作しています。両社ともに合同会社として設立・運営しており、一人・少人数での法人設立と設立後の実務を、自らの経験も踏まえて扱っています。

記事は、法務省・法務局・国税庁・日本年金機構・中小企業庁・日本公証人連合会などの一次情報を確認したうえで作成し、合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら編集しています。参照元は各セクションの末尾に明示しています。ただし制度・手数料は改正されるため、手続きの際は必ず所管官庁の最新情報をご確認ください。個別具体的な判断については、税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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