会社設立の必要書類を時系列で。登記11種類のあとに、届出がまだ18種類あります
会社を作るときに触る書類は、登記のぶんだけではありません。設立前の準備から、登記、そして設立後の届出まで数えると全部で29種類前後になります。
ただし、これを一覧表としてまとめて眺めても、あまり役に立ちません。書類は必要になるタイミングがバラバラで、同時に全部そろえる必要がないからです。この記事では、時系列で並べます。いつ、どこに、何を出すのか。
提出先で分けると、法務局(登記)に11種類、税務署に5種類、年金事務所に3種類、自治体に2種類、そして金融機関や許認可官庁に8種類ほど。登記より後ろのほうが、実は書類の数が多いことが分かります。
フェーズ1|定款認証の前に用意するもの

定款を作るために必要なもの
設立の2〜3週間前- 会社の基本事項を決めたメモ(商号・目的・本店・資本金・決算月・機関設計)
- 商号調査の結果(法務局の窓口またはオンラインで確認)
- 発起人の本人確認書類
- 定款の原案(Word等で作成)
この段階では、まだ役所に出す書類はありません。すべて自分の手元で作るものです。ここで決めた内容が、以降のすべての書類に転記されていくので、決定事項は1枚のメモにまとめておくと後が楽になります。
公証役場に持っていくもの(株式会社のみ)
設立の1週間前- 定款3通(会社保存用・公証役場保存用・登記提出用)※電子定款の場合は電子データ
- 発起人全員の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 発起人の実印
- 認証手数料と謄本交付手数料(現金)
- 本人確認書類
事前にメールやFAXで原稿を送り、指摘を受けて修正してから当日を迎えるのが一般的です。合同会社にはこのフェーズがまるごとありません。
フェーズ2|登記申請に必要なもの

払込を証明するもの
認証の翌日〜- 通帳の表紙のコピー
- 通帳の見開き1ページ目のコピー
- 入金が記帳されたページのコピー
- 払込証明書(自分で作成し、会社実印で契印)
- 資本金の額の計上に関する証明書
資本金の入金は、定款の作成日以降である必要があります。順序を間違えると作り直しになるので、認証を受けてから入金するのが確実です。
法務局に提出する一式
設立日当日- 設立登記申請書
- 登録免許税納付用台紙(収入印紙を貼付)
- 認証済み定款(合同会社は自作の定款)
- 発起人の同意書(株式会社。定款に記載済みなら不要)
- 設立時取締役/代表社員の就任承諾書
- 取締役の印鑑証明書(株式会社。3ヶ月以内)
- 払込証明書一式
- 登記すべき事項(CD-Rまたはオンライン送信)
- 印鑑届書
- 印鑑カード交付申請書
この日が設立日として登記簿に載ります。土日祝は法務局が閉まっているため、設立日にはできません。
フェーズ3|登記完了後、ここからが本番

法務局で受け取る・取得するもの
設立から7〜10日後- 印鑑カード(交付申請書を出していれば受け取れる)
- 登記事項証明書(3通ほど取得しておく)
- 会社の印鑑証明書(2通ほど取得しておく)
ここから先の手続きは、すべてこの登記事項証明書が起点になります。届出先が多いので、1通ずつ取りに行くと窓口を何往復もすることになります。
税務署に出すもの期限あり
設立から2〜3ヶ月以内- 法人設立届出書(定款の写しを添付)— 設立から2ヶ月以内
- 青色申告の承認申請書 — 3ヶ月経過日と初年度末の早い方の前日まで
- 給与支払事務所等の開設届出書 — 開設から1ヶ月以内
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 — 随時
- 棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書 — 初回の申告期限まで
青色申告の承認申請だけは、絶対に落とさないでください。初年度の赤字を繰り越せるかどうかが決まります。
年金事務所に出すもの5日以内
設立から5日以内- 健康保険・厚生年金保険 新規適用届(登記事項証明書を添付)
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
- 健康保険 被扶養者(異動)届(扶養家族がいる場合)
設立後の書類のなかで、もっとも期限が短いのがこれです。役員が自分ひとりでも、報酬を出すなら加入義務があります。
都道府県・市町村に出すもの
自治体により15日〜1ヶ月- 法人設立届出書(都道府県税事務所)
- 法人設立届出書(市町村役場)※東京23区は不要
提出期限が自治体ごとに違うため、「都道府県名+法人設立届出書」で公式サイトを確認するのが確実です。添付書類は定款の写しと登記事項証明書が一般的です。
落とすのは、いつも後半です

登記に必要な11種類は、揃わなければそもそも受理されません。だから必ず気づきます。危ないのは、登記が終わったあとの届出です。誰も催促してくれないまま、期限だけが過ぎていきます。
実際に起きる不利益を、金額で見ておきます。青色申告の承認申請を落とした場合、初年度は白色申告になります。初年度に300万円の赤字が出て2期目に300万円の黒字が出たとすると、青色なら相殺されてほぼ非課税ですが、白色だと2期目の300万円にまるまる課税されます。
社会保険の届出を落とした場合、後から加入手続きをする際に、遡って保険料を請求されることがあります。役員報酬20万円の一人会社なら月あたり労使合計で6万円弱。1年放置していれば70万円近い額です。しかも延滞金がつく場合もあります。
どちらも、書類1枚を期限内に出すかどうかの差です。難易度の問題ではなく、忘れるかどうかの問題です。
設立日+1ヶ月:税務署(給与支払事務所等の開設届出書)/自治体(法人設立届出書)
設立日+2ヶ月:税務署(法人設立届出書)
設立日+3ヶ月:税務署(青色申告の承認申請書)※初年度末が先に来る場合はその前日
この4つを予定表に入れておけば、あとは書類を作って出すだけです。期限管理さえできていれば、書類そのものは難しくありません。
法人口座の開設で求められる書類

届出とは別に、多くの人が同時並行で進めるのが法人口座の開設です。ここで求められる書類は金融機関によって違いますが、共通して出てくるものがあります。
登記事項証明書(発行から3〜6ヶ月以内)、会社の印鑑証明書、定款の写し、代表者の本人確認書類、会社の実印と銀行印。ここまではほぼどこでも共通です。
そこに加えて、近年は事業の実体を示す資料を求められることが増えています。具体的には、事業内容が分かるパンフレットやウェブサイト、取引先との契約書や請求書、事務所の賃貸借契約書、代表者の経歴書など。口座開設の審査は、書類が揃っているかではなく、事業が実在するかを見ています。
特に、バーチャルオフィスを本店にしている場合や、資本金が極端に少ない場合、事業目的が多岐にわたりすぎている場合は、追加の説明を求められる可能性が高くなります。これは会社形態とは関係なく、株式会社でも合同会社でも同じです。
準備の観点でいうと、設立前からウェブサイトを作っておく取引予定先との合意を書面にしておくといった動きが、そのまま口座開設の材料になります。登記が終わってから慌てて用意するより、並行して進めておいたほうが確実です。
業種によって増える書類

ここまでが、どの会社にも共通する分です。これに加えて、業種によっては許認可の申請書類が必要になります。
| 業種 | 必要な許認可 | 提出先 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 飲食店営業許可 | 保健所 |
| 建設業 | 建設業許可(一定規模以上) | 都道府県または国土交通省 |
| 人材紹介・派遣 | 有料職業紹介事業許可/労働者派遣事業許可 | 都道府県労働局 |
| 中古品の売買 | 古物商許可 | 警察署 |
| 不動産仲介 | 宅地建物取引業免許 | 都道府県または国土交通省 |
| 運送業 | 一般貨物自動車運送事業許可 | 運輸支局 |
許認可が必要な業種では、定款の事業目的の書き方が許可の要件になります。目的の文言が要件を満たしていないと、設立後に変更登記(3万円)をやり直すことになります。該当する可能性があるなら、定款を作る段階で行政書士に文言だけ確認してもらうのが安上がりです。
また、許認可の申請には登記事項証明書と定款の写しが必要になるのが一般的です。設立直後にまとめて動くつもりなら、証明書は多めに取っておいてください。
従業員を雇う場合に増える書類

一人で始めるなら不要ですが、人を雇った時点で労働保険の手続きが加わります。
労働基準監督署には、労働保険関係成立届(保険関係成立の翌日から10日以内)と、概算保険料申告書(50日以内)。ハローワークには、雇用保険適用事業所設置届(設置の翌日から10日以内)と、雇用保険被保険者資格取得届(雇用した月の翌月10日まで)。
ここでも期限は短めです。「人を雇う」と決めた時点で、労基署とハローワークの2か所が加わると覚えておいてください。なお、社長ひとりの会社では雇用保険と労災保険の対象にならないため、この手続き自体が発生しません。
書類は、どこに保管しておくのか

提出して終わり、ではありません。会社には書類の保存義務があり、あとから必要になる場面も多くあります。設立時の書類は、特に長く使います。
定款は、会社が存続するかぎり保存します。法人口座の開設、許認可の申請、補助金の申請、取引先からの提出依頼と、出番はかなり多い書類です。原本は金庫や施錠できる場所に、PDF化したものをすぐ出せる場所に——という二重管理にしておくと実務が回ります。
登記事項証明書は、取得から3ヶ月を過ぎると多くの提出先で受け付けてもらえなくなります。したがって「保管する」というより「必要なときに取り直す」ものです。ただし設立時に取ったものは、会社の記録として1通残しておくと、後から設立日や当初の資本金を確認するときに便利です。
税務署や年金事務所に出した届出の控えは、必ず保管してください。提出した事実を証明するのは、この控えだけです。窓口で提出する場合は控えに受付印をもらい、郵送なら返信用封筒を同封して控えを返してもらいます。電子申請なら受付通知を保存しておきます。
特に青色申告の承認申請書の控えは重要です。承認は「申請して、却下されなければ承認されたものとみなされる」仕組みなので、承認通知が届くとは限りません。出したことを証明できるのは、受付印のある控えだけです。ここは確実に残しておいてください。
まとめ

「会社 立ち上げ 必要書類 一覧」で検索すると、登記だけの一覧と、届出まで含めた一覧が混在します。準備の段階によって必要な一覧が変わるので、いま自分がどのフェーズにいるかで読み分けてください。期限つきの一覧を出しているサイトは、設立後の管理に特に役立ちます。
- HT税理士法人|一覧表付き:会社設立に必要な全29種の書類まとめ届出まで含めた29種類の一覧表。全体像を掴むのに向いています。
- freee|会社設立に必要な書類は主に11種類!一覧リストや作成・提出方法登記に絞った11種類。提出方法まで扱っています。
- ベンチャーサポート|株式会社設立の必要書類を画像付きで解説書類の画像が掲載されており、完成形を確認できます。
- ベンチャーサポート|合同会社設立の必要書類一覧合同会社側の一覧。形態による差を確認できます。
- 弥生|合同会社の設立・登記に必要な書類一覧!申請書の作成における注意点申請書作成時の注意点が具体的にまとまっています。
- マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社設立時の必要書類一覧!無料テンプレート付きテンプレートが配布されており、作成の出発点になります。
- たむら司法書士事務所|会社設立登記に必要な書類は?作成方法や手続きの流れ司法書士の視点。登記実務での注意点が具体的です。
- 加藤司法書士事務所|会社設立登記の必要書類添付書類の要否を場合分けして説明しています。
- 法務省|株式会社の設立手続(発起設立)について登記書類の様式と記載例の一次情報です。
- 法務局|合同会社設立登記申請書(様式・記載例)合同会社の申請書様式。ここからダウンロードできます。
- 日本公証人連合会|定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか定款認証で持参する書類の一次情報です。
- J-Net21(中小機構)|株式会社の設立手続き公的支援機関の起業マニュアル。工程と書類の対応が分かります。
- 弥生|会社設立の方法・流れを詳しく解説工程順に書類が並んでおり、時系列で追えます。
- マネーフォワード クラウド会社設立|会社設立の流れを解説!手順、必要書類、費用流れのなかで書類がどこに出てくるかが確認できます。
- freee|会社設立の流れと手続き方法を徹底解説用語の説明が丁寧で、書類名の意味を確認できます。
- 千代田税理士法人|合同会社設立は自分でできる?流れと設立後にやること4選設立後にやることに焦点を当てており、後半の抜け防止に使えます。
- 起業ログ|合同会社設立の必要書類一覧と、その作成方法【作成例つき】作成例つきで各書類の書き方が分かります。
- canaeru(USEN)|合同会社の設立に必要な書類一覧!作成時の注意点や手続き開業支援サイトの解説。実務の流れに沿った構成です。
- みずほ銀行|一人で会社を作る手順は?必要書類や費用、個人事業主との違いも解説法人口座の開設で必要な書類にも触れています。
- 創業手帳|会社設立の流れがわかる!やることリスト完全版チェックリスト形式。書類の抜け漏れ確認に向いています。
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